今回歩いたルート
横須賀市大津の高潮被害を軽減するためにつくられた「大津地区高潮対策護岸」という施設があります。最近まではごく一部の遊歩道しか立ち入りができなかったのですが、2023年4月に管理用通路の供用が開始されたといううわさを聞きつけました。

護岸の通路と聞けば、さぞかし眺めがよいに違いない……。そう思いまして、足を運んでみることにしました。場所は「海辺つり公園」のすぐ近く。せっかくだから海辺つり公園からスタートして周辺を散策してみることにします!
海辺つり公園

錨のモチーフから透けて見える青い海と空がなかなかいい感じ。この日は前回の記事に引き続き、横須賀市の「うみかぜの路(海と緑の10,000メートルプロムナード)」を歩いてみようという試みをしていました。そのためわたしは三笠公園からてくてくとここまでやってきました。
海辺つり公園自体は最寄り駅が「堀ノ内」駅。利用者のほとんどは自家用車で来て駐車場に駐めるのだと思います。有料駐車場ですが料金は良心的。

わたしは釣りをしないので、実は海辺つり公園に足を踏み入れるのはこれが初めてです。ですので、釣りをしない人間にとってこの周辺にはどういう楽しみ方があるのかな? という意味でもこの記事をご覧いただけるといいのかな、と思っています。
ちなみに、「うみかぜの路(海と緑の10,000メートルプロムナード)」について。横須賀市のウェブサイトをざっと確認しただけでも「10000メートルプロムナード」「10,000メートルプロムナード」「1万メートルプロムナード」と表記が3種類あることが確認できます。今回どれを採用するべきか迷ったのですが、海辺つり公園にある案内板の表記「うみかぜの路(海と緑の10,000メートルプロムナード)」に準じることにしました。名称がとても長いので、簡単に10,000メートルプロムナードと呼ばせてもらおうと思います。

パブリックアートが多い公園

公園に入ってすぐのところに東西南北の方位が刻んであるモニュメントがあります。海辺つり公園は細長い形をしていて、ほぼ南北に伸びています。今いる入口付近がもっとも南。というわけで北上していきます!

本来の機能が失われた結果、だれも想定していなかったような妙な存在感が出てしまった人工物というものがけっこう好きです。これは日よけの部分がなくなった休憩スペース。

前情報をまったくもたない状態で足を踏み入れてみたら、大型のパブリックアートが点在している公園でした。そうなんだ、知らなかった。
一見して不安定な四足歩行の生き物なのかなあ、と見えたこちらの作品は空充秋という彫刻家の「歩歩」。タイトルからするとやはり歩いているようです。ズレそうでズレない、とも見えるし、ズレながら常に形を変えながら動き続けている、とも見える。そして背景には海と空。この作品けっこう好きだなあ。
作家のプロフィールは山口県のUBEビエンナーレのものがくわしかったのでご覧ください。

ちょっと進むと立派な噴泉が。しかし水を出すのはもうやめてしまったようで、池も涸れていました。
遠景なのでややわかりづらいですが、この噴泉の構造物そのものが作品だということのようです。「逆ピラミッド」、てっぺんについているのがおわかりになるでしょうか。
おそらくこの作品は水が出てこそ完成形なのだと思います。構造物だけではおそらく意図されている状態になっていないはず。そういう意味でもぜひ水がある噴泉を見てみたいです。

方位磁針のように南北を指し示す赤い彫刻。鉄に浮いたサビは当初から意図されていたもののように思われますがどうなんだろうなあ、と眺めます(帰宅してから確認したところ、やはり表現としてサビを出しているようです)。赤いラインが示す目線の先、北側に猿島が見えるのがなんとなく象徴的です。
作家の公式WEBサイトに掲載されたプロフィールによると「金属を主な素材とし、内臓するマグネットの作用で微妙に揺れ動くスケールの大きな彫刻を製作」とのこと。もしかしたらこの作品も微妙に動くんでしょうか。気づけませんでしたが、次の機会にはちょっと気をつけてみてみようと思います。
ちなみに下が作家による作品ページ。場所が「横須賀市安浦地区修景緑地」となっていますが、これは海辺つり公園という名称が決まる前のこの場所の呼び名です。
そしてやはり素材に「マグネット」とありますね。動くんだ……!

そばにテントを張っている利用者がいらしたので、最初この作品の画像を載せるのをやめようかな……と思い、いやいやそうじゃないでしょとちょっと反省して載せています。やめようかな、と思ったのは写り込んでしまった方のプライバシーに配慮して、というわけではなく、単に見栄えが悪い、と思ったからなんです。
でもパブリックアートって生活の中にあるものなのだから、写真を撮ったら人や道具が写り込んで当たり前のはず。それをうまくいかなかった写真と思ってしまう感覚、かなりよくないなあというのが反省の内容です。このことは10,000メートルプロムナードのほかの場所を歩いていても感じたので、また別の記事でもちょっと考えてみたいなと思っています。
さて、めちゃくちゃ上りたくなってしまうこの作品、「大地」ってどこのことだろう、と思います。作品の一部である岩石はもちろん大地の産物ですけど、岩石を囲っている直線的な鉄板もまた大地なのかもしれません。わたしは公園内の通路からこの写真を撮ったのですが、足元のアスファルトだってふだんわたしたちは大地と同じようなもの、ととらえて生活していると思います。
この作品のみ物故作家によるものですが、公式サイトのプロフィールがありました。
こういうことを言うのはとても悲しいのですが、横須賀市はあまりパブリックアートにたいして優しくない自治体です。過去の事例を見るかぎり、メンテナンスが難しいと判断された作品はすぐになくなってしまいます(もちろん大きな構造物を放置していたらそれはそれでとても危ないのですが)。なので、いつでもそこに動かずあるように見えるパブリックアートもいつまでもあるとはかぎりません。おもしろそうだな、と思ったらぜひ足を運んでご覧になってくださいね。

さて、海辺つり公園の奥まで歩いたので満足して入り口へと戻ります。平日でも釣りを楽しむ方がたくさんいらっしゃいました。
遠くには防衛大学校がある小原台が緑たっぷりに見えます。小原台って海底に堆積した砂の層が隆起してできた古い台地なんだそうです。防衛大学校があるためか斜面に手が入っていないので、ボコッと持ち上がった感じがよくわかっておもしろい地形です。
小原台には名馬池月(荒潮)の伝承が残されています。「海から上ってくる馬」というモチーフ、単なるおとぎ話にとどまらない意味がありそうで気になっています。周辺は以前うしがみさんが歩いていますので、そちらの記事もあわせてどうぞ。

少し寄りで見てみると、あることに気づきます。海辺つり公園にはたくさんの釣り客がいるのですが、ちょうど写真正面にある護岸にはひと気がまったくありません。この無人の護岸が今回の目的地です!
大津地区高潮対策護岸へ

海辺つり公園を出て駐車場を突っ切るとすぐに大津地区高潮対策護岸があります。共用開始にともなって新しく整備したようで、取材時(2023年5月)はまだコンクリートがピカピカでした。

階段の手前にはいろいろと注意事項が書いてあります。釣り・乗り物・バーベキュー等々が禁止。のんびりお散歩してください、ということですね。横須賀市の「ボイスバンク」に寄せられた回答によると、安全を保つためにお散歩用途に限定しているということです。

階段を上ると、目の前に猿島が。いやーいい眺めです。

通路は真ん中に段差が設けてあり、海側と道路側を行き来するための階段があります。

海側の通路。フェンスには転落防止のネットが張りめぐらされています。ペットや子どもとの散歩も比較的安心できそう。

こんな感じでまっすぐの護岸が続いています。長さは500メートルほど。とりあえずてくてく歩いてみます! ちなみに眺めがサイコーなので、段差のところに座って休憩するのもめちゃくちゃよかったです。見渡すかぎり海! ただし日差しをさえぎるものは何ひとつありません!

護岸通路を歩いて突き当たり、海辺つり公園と反対側にあたるところには「大津地区1号護岸遊歩道」があります。こちらは15年ほど前から開放されている堤防で、釣りなどができます。


ベンチに横になって休憩する人も。ちなみに大津地区1号護岸遊歩道は夜間の利用を想定して街路灯が設置されているのですが、大津地区高潮対策護岸には街路灯がありません。そもそも夜間の立ち入りが禁止なので照明をつけなかったようです。
大津港から京急大津駅へ

前回の記事で確認した10,000メートルプロムナードのコースによると、このあたりは大津地区高潮対策護岸(計画当初は今とは違う護岸がありました)を通ったあとよこすか海岸通りへと向かいます。ドン・キホーテと大津港に挟まれた道を歩くのですが、こちら、歩道がありません。歩く際はお気をつけを!
10,000メートルプロムナードのコース全体はこちらの記事で確認できます。

10,000メートルプロムナードはこの先よこすか海岸通り沿いを進みます。ちょこっとだけこの当たりの様子を見てから帰ろうと思います。

大津港に接するようにして「マボチョク」の通称で親しまれている遊歩道がスタートします。ここから先、「馬堀海岸」駅にいちばん近いあたりまでは10,000メートルプロムナードのうち「海辺の散歩道」というセクション。現在では散歩道というよりランニングコースとしての知名度が高いかもしれません。この先はまた別の機会に歩くことにします!

と、いうわけでよこすか海岸通りを渡り、京急大津駅へとやってきました。京急大津駅のつくり、東急世田谷線あたりとちょっと似てます。
次回は平成町あたり
10,000メートルプロムナードにかこつけて、大津地区高潮対策護岸を歩いてみました。大津地区高潮対策護岸は釣りが禁止なぶんのんびりと過ごすのにぴったりでした。真夏はちょっとしんどいですが、気候のよい時期になったらぜひ一度お出かけください。
そして次回も10,000メートルプロムナードを歩きます! 前回と今回の間にある、飛ばしてしまった「緑とスポーツの道」(駅でいうと「県立大学」〜「堀ノ内」のあたり)を狙っています。



