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【追浜】12年に1度の御開帳! 三浦三十八地蔵尊御開帳レポ タイムアタック1日目

御開帳(ごかいちょう)とは、普段は厨子(ずし)と呼ばれる箱の中にしまっている仏像(秘仏)を、特別に開いてその姿を拝観できるようにすることを言います。

三浦半島では12年に1度、卯年の4月中旬から5月中旬にかけて行われます。今年はなんと38カ所もの地蔵尊が一斉に御開帳しました!

御開帳している寺院の中には三浦一族や徳川家康のゆかりなど、三浦半島の歴史に深く関わる寺院もあるし、めったに見られない仏像を拝める他に、普段行かない場所にも足を運ぶ良い機会です。

この記事が公開される頃には、すでに期間は終了してしまっていますが、三浦半島をぐるりと一周したレポートとして楽しんでいただければ幸い。

今回のお散歩コース

三浦三十八地蔵尊御開帳 1日目 - Google My Maps

秘仏を開帳している寺院は「札所」と呼ばれ、番号が振られています。この順番通りに行くのもアリですが、ちょっと順番が飛んでいたり、離れている場合もあります。

私は順番関係なく効率よく回れる「三浦半島時計回りコース」を辿ってみました!

といっても1日で38カ所を回りきれることはないでしょう。そこで、5日間かけて巡ります。

1日目は26番・能永(のうえい)寺、番外・本町(ほんちょう)延命地蔵、1番・大松(だいしょう)寺、2番・大善(だいぜん)寺、3番・満昌(まんしょう)寺、4番・満願(まんがん)寺、5番正業(しょうごう)寺、6番長安(ちょうあん)寺、7番・傳福(でんぷく)寺の9カ所を回ります!

果たして1日でどれだけ回りきれるのか!!

26番 能永寺

御朱印対応時間開始はお寺によって10時からや9時から……もっと早くから受け付けていることもありマチマチですが、終了時間は17時です。1日で効率よく9カ所を回り切るためには、やはり10時くらいには最初のお寺につくように出発したいですね。

能永寺は、追浜駅と田浦駅のちょうど中間にあるお寺です。歩いて行く事もできますが、バスも出ています。

10時。追浜駅に到着。改札を左へ。

歩道橋を渡って、西友の前にある2番乗り場からバス(田17系統)に乗ります。

追浜駅バス停2番乗り場

そこから約10分……榎戸(えのきど)バス停で下車。

榎戸バス停

少し進んだ先を曲がると、すぐ能永寺が見えます。ここで10時20分あたり。

能永寺は室町時代、応永元(1394)年に開山しました。能永寺のある深浦(ふかうら)湾は、鎌倉時代から江戸時代にかけて榎戸港と呼ばれ、江戸湾3大港の1つとして栄えていました。

今回御開帳された延命地蔵は、元禄9(1696)年に作られ、胎内にさらに小さな地蔵仏が入っているという、非常に精巧なつくりです。

番外 本町延命地蔵

参拝し、御朱印を頂いて、再びバスに乗って追浜駅、もしくは田浦駅へ。どちらも京急バス「田17系統」の終着点です。追浜駅からは京急で汐入駅へ、田浦駅ならJRで横須賀駅へ向かいます。今回は汐入駅へ。到着は11時20分ごろでした。

横須賀駅に着いた場合は改札から右に向かってまっすぐ10分ほど歩いていくと汐入駅に着きます。もしくはバスに乗って汐留バス停で降りてください。汐留に停まるバスはたくさんあるので、公式サイトで系統をご確認ください。

京浜急行バス 時刻表検索

改札を出たら右へ向かい、芸術劇場をぐるりと回って……。

どぶ板通りへ。

バーミヤンの角を曲がってすぐ右手側に、本町延命地蔵があります。

ここに建てられたのは、関東大震災以降のことで、元々は現在の汐入小学校のあたりに江戸時代の宝永年間中(1704年〜1714年)に建てられたといわれています。

1番 大松寺

大通りに出て、道路の向かい側、本町一丁目バス停3番乗り場に向かいます。

本町一丁目バス停

3番乗り場の系統であればどのバスに乗っても大丈夫です。

到着する系統

もし2番乗り場の系統のバスに乗ってしまったら、衣笠十字路か三春町二丁目で乗り換えましょう。

衣笠山公園バス停

バスに乗り約20分、衣笠山公園バス停で下車します。バス停の後方にある信号を右に曲がり、スーパーをぐるりと回るように進みます。

案内板に沿って進む

少し坂を登った先が大松寺です。

バス停からの所要時間は、なだらかですが坂を登るので15分ぐらいでしょうか。到着は12時15分ぐらい。

大松寺は鎌倉初期の創建といわれ、『新編相模国風土記稿』によると、開基は鎌倉御家人秩父党の稲毛重成(いなげ しげなり)と伝わっています。稲毛重成は畠山重忠(はたけやま しげただ)の従兄弟にあたる人物です。一度衰退してしまいましたが、室町時代の天文2(1533)年に復興しました。

祀られている子育て延命地蔵尊は、たった6cmほどの小さな仏像ながら技巧を凝らした精密な作品でした。

この仏像は、明治44(1911)年に愛知県豊橋市にある全久院(ぜんきゅういん)から贈られたものですが、それ以前の来歴が不明で、いつ作られたのか、誰が作ったのかもわかっていません。

近くには小矢部城趾もあります。

2番 大善寺

大善寺に向かうのに再びバスに乗ります。衣笠山公園バス停まで戻っても良いですが、せっかくなので歩いてみましょう。

大松寺地蔵堂から近道があるようです。

地蔵堂の脇を右に
墓地を突っ切っると大通りへ出ます。

井戸店(いどみせ)バス停まで10分前後です。大善寺の最寄りバス停「衣笠城址」はひと停留所なので歩いても行けますが、ちょうど良くバスが来たので乗っちゃいました。

ここで12時50分ごろ……そろそろお腹も限界です。衣笠城址バス停の近くにはガストが……大善寺の近くにはカフェレストランのローゼンベッカーもあるので、どちらかでお昼休憩を挟みましょう。

衣笠城址バス停で下車した後、大善寺までの道のりや、大善寺の詳細については過去の記事を参考にしてください。38カ所のうち、一番の難所である「馬返しの坂」もあるので、バス停からは25分ぐらいを見た方がよいかもですね……。

今回御開帳された福壽地蔵尊は、明治時代に廃寺となった、衣笠町の福壽院(ふくじゅいん)というお寺のご本尊……とされていますが詳細は不明です。

3番 満昌寺

満昌寺についても、大善寺からのアクセス方法や縁起については過去記事を参照。下り坂なので行きよりは楽ですが、転ばないように気をつけながらだいたい20分。お昼休憩を挟んだので到着は14時半ぐらいです。

御開帳の「延命地蔵尊」は、まさにお地蔵さんというような御姿の木像でした。

4番 満願寺

満昌寺から久里浜方面へ5分ほど歩いて、道路の向かい側。ローソンの前にある大矢部三丁目バス停からバスに乗ります。ちなみに満昌寺の目の前にも満昌寺バス停があります。ただしここはYRP野比行きしか停まらず、本数が少ないです。確実にバスに乗りたいときは大矢部三丁目まで歩くのをおすすめします。

大矢部三丁目バス停

久里浜駅・北久里浜駅行きなら岩戸バス停、YRP野比行きなら岩戸二丁目バス停で下車します。バス乗車時間は5分ほど。

満願寺に近いのは岩戸バス停です。アクセスや、満願寺の縁起については過去記事を参照してください。

今回は岩戸二丁目バス停から行ってみます。バス停を降りて少し進んだ先のクリニックを左に曲がり、階段や坂を下って行きます。

ずんずん道なりに進んで突き当りを右に曲がると満願寺があります。ここまで約10分ぐらいですね。ここまででだいたい15時半……タイムリミットまで1時間半です。

今回御開帳された「岩戸地蔵尊」は運慶作のものと伝わっていて、国の重要文化財にも指定されています。本当に運慶の作かはまだ証拠はありませんが作風からして運慶の工房の作であることは確かなようです。

5番 正業寺

満願寺から約5分。岩戸バス停から北久里浜・久里浜行きのバス(久・北久3系統)に乗り、北久里浜駅もしくは京急久里浜駅に向かいます。

ただし、久里浜行きのバスの本数は少ないです。今回は北久里浜駅行きのバスを使い、そこから電車に乗って京急久里浜で下車しました。

16時10分……残り時間1時間を切りました。京急久里浜駅の改札を出て右。階段を降りてまっすぐ大通りへ向かいます。

交差点に出たら右に進みます。

途中にある久里浜八幡神社は養老4(720)年に当時の武人によって建てられたとされていて、境内からは弥生式土器が発掘されています。三浦一族の御先祖様ですかね……? でも今日は時間がギリギリなので通り過ぎます。

久里浜八幡神社

久里浜八幡神社の先にある、ドラッグストアの駐車場を左に曲がります。

その先の交差点を左に曲がると、正業寺の山門が見えます。ここまで約10分……!

正業寺は室町時代永禄9(1556)年創建の寺で、一度衰退しましたが、江戸時代の慶安元(1664)年に復興しました。

今回御開帳した子育地蔵尊は、江戸時代の作ですが詳細は不明。カラフルな色彩が美しかったです。境内にある幼稚園の児童たちを見守っているようでした。

6番 長安寺

大通りに出たら京急久里浜駅方面へ戻り、途中の花屋の前を右に曲がります。

そのまま真っすぐ行くと、長安寺の山門が見えてきます。

こちらも正業寺から約10分!……16時半……あと30分……!

長安寺の創建も、室町時代。天文二(1533)年です。今回御開帳された延命地蔵尊は江戸時代の作と伝わっていますが、詳細は不明です。前回平成23(2011)年の御開帳の時に修理されましたが、この時も何も判明しなかったそうです。

修理されたお地蔵さんは鮮やかに輝いていました。やはり綺麗になると心なしか嬉しそうに見えます。

7番 傳福寺

参拝して御朱印を頂いてダッシュで京急久里浜駅に戻り、久7・久8系統のバスに乗って東京湾フェリー、あるいは久里浜港バス停で下車。16時45分発野比海岸行きのバスに乗れればギリッギリ間に合う計算です……!! 間に合え!!

えっ。写真がイキナリ明るくなってるから間に合わなかったんだろって? HAHAHA……

ちなみに、バス停近くの住吉神社は、三浦一族ゆかりの神社です。

久里浜港バス停から少し進んだ、釣船店の横から入り、裏へ回ります。

道なりに進んで、突き当りを左に曲がると、傳福寺の山門です。バス停からだいたい5分。

傳福寺は室町時代、大永7(1527)年に開山しました。

今回御開帳された傳福寺の地蔵尊は、珍しく座像! 私、座っているお地蔵さんは初めて見ました。

片足を組んでいる半跏坐像(はんかざぞう)でした。服は色あせていながらも布の質感がリアルでしたが、顔や体が金ぴかぴんに輝いていていました。

傳福寺あたりからのお散歩コースはこちらもどうぞ。

プラスのぷらり

とまぁ、本日はここまで! 帰りのバスの本数は少ないので、久里浜まで歩いてみましょう。

山門を出て、左手にある筋違いの十字路を左に……。

突き当りを右に行き、細い道を真っすぐ進みます。

緑地を通って車通りの道に出て道なりに進み……

交差点を左に。

ずんずん進んで、薬局の手前を右に行くと京急久里浜駅です。

道順的には簡単なんですが、駅前の商店街に行くまでほぼ何もないところを30分ぐらい歩きます。傳福寺から最寄りの札所の寺院までいくにも、京急久里浜駅に戻る必要があるので、一日の最後にするのがポイントです。

傳福寺の山門からの帰り道はこちらの記事にあるルートでくりはま花の国に寄ることもできます。

しかしこの行程、本当にギリギリなので一番の駅近だった本町延命地蔵は別日でもよいのでは? と思いました。

次回は、浦賀方面を巡りますよ~! 予定通り回れるのか、こうご期待!

<meta charset="utf-8">樽瀬川 真人
樽瀬川 真人

三浦半島の付け根で生まれ育ち、地元の歴史を調べていたらいつのまにか鎌倉時代の三浦の海の底にいた。 

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