大田和つつじの丘
ツツジの名所、大田和つつじの丘にやってきました。とは言っても取材日は3月末、ツツジはまだまだです。

今年のつつじフェスタは4月16日から
ツツジの見頃は4月半ばくらいから。つつじの丘のウェブサイトによると今年は少し咲き出しが遅いようですが、2022年4月16日からは久しぶりにつつじフェスタも開催されるとのこと。ご都合のつく方はぜひお出かけください。

つつじの丘は名前の通り丘なので、かなりの高低差があります。そのかわり眺めも良い。花の時期以外はとても空いています。

花はまだまだ、ですが咲きはじめに出会えました。


花芽はいっぱいついていたので、これからどんどん咲いて春になっていきますね。普段はゴールデンウィークにはピークを過ぎてしまうツツジ、ぜひウェブサイトで開花情報をご確認の上お出かけを。
大田和つつじの丘アクセス
最寄りのバス停は「武山」もしくは「一騎塚」。どちらもバス停から15〜20分ほど歩きます。この路線はJRの「横須賀」・京急「横須賀中央」駅方面からをはじめ、JR「衣笠」駅近くの「衣笠十字路」バス停、そのほか下り方面からでは「三崎口」「三浦海岸」駅からも乗ることができます(本数は少ないですが「YRP野比」駅方面からも)。
一騎塚方面からお越しの際は、ぜひこちらもどうぞ。
台数は多くありませんが、無料駐車場もあります。花のピーク時は駐車場が混み合いますのでご注意を。
今回歩いたルート
さて、今回は大田和つつじの丘からさらにもりもりと歩いてみようと思います。このあたりには相模湾側に注ぐ川がいくつも流れていますが、その中から荻野川をピックアップ。上流〜下流まで、寄り道しながら一気に行きます!
長坂の親水広場まで
まずは小さな山を越えます

つつじの丘を出まして正面左、坂道を上るほうへと向かいます。てくてくと車道沿いを歩き、まずはこの山を越えてしまいましょう。

坂を下りおわると、小さな橋が架かっています。

渡って左手を見ましょう。


ここから荻野川沿いを歩いていきます!

右手は少し高台に今まで歩いてきた道があり、土手を下ったところに遊歩道があるという位置関係です。

足元はしっかり舗装されているので歩きやすい。ごくふつうに街歩きの感覚のままで歩けます。

しばらく行くとあずまやが登場しました。

ここは荻野川の支流がふたつ合流する地点。親水施設として整備されています。ちょうど子どもたちが遊んでいました。
ツツジがきれいな大田和つつじの丘ですが、子どもたちにはちょっと物足りないかも。そんなときはぜひ着替えを持ってここまで足を伸ばしてみてください!

いいですねえ楽しそうですねえ、と言いつつ上流に目を向けてみましょう。今まで歩いてきたのとは別の支流沿いにも遊歩道があります。とりあえずこっちに行ってみます!

右でも左でも、お好きなほうを。

ちょっと歩くとまた橋にぶつかります。ここから右手の道を進みます。

このまま川沿いを進むと昔のため池、沢山池がある……と記憶していたのですが、ここは立ち入り禁止になっていました。帰ってきてから確認するとわたしの勘違いで、沢山池へは舗装路をまっすぐ進めばよかったみたいです。
すでに何年も前に役目を終えて水を抜かれてしまった沢山池ですが、現在周辺の環境を整えるプロジェクトが行われているそう。くわしくは横須賀市のウェブサイトをご覧ください。
あじさいの遊歩道

さて、振り返ると「沢山橋」という橋の先にもうまた別の遊歩道が伸びています。

こちらの支流は掘り下げが浅く、小川のような流れになっています。

少し進むとアジサイが流れに沿って植えられています。まだぽやっと葉っぱが出てきているだけですが、6月ごろには見ごろになるでしょう。歩きながら楽しめそうです。

少し行くと行き止まりのようになっています。右側の斜面は大雨で上から少し土砂が流れてきたような形跡が。悪天候の日は注意したほうが良さそうです。

「となりのトトロ」のメイちゃんが通れそうな、いやメイちゃんじゃなきゃ通っていけなそうな細い踏み分け道があります。この先が虫山池。今はフェンスで覆われていて入れないと思いますが、定期的に通っている人がいるみたいですね。
関口牧場へよりみち
来た道を引き返して、先ほどの親水広場まで戻ってきました。

ここからまた川沿いに下っていきます!

山がもこもこしてきているのが春ですねえ。お天気もほどよく暖かく、歩くのにはぴったり。

そのままずんずん進みます。このあたりには錦鯉が泳いでいるのが見えました。野生の錦鯉……?

しばらく行くとまた小さな親水スペースがありました。下りてみますが……

階段、急な上に1段が高い! 気をつけてご利用ください。これは階段というより、なんでしょう。さっきの鯉が滝登りの練習にでも使うんでしょうか……。
よりみちその①関口牧場のソフトクリーム

太鼓橋の先にある橋で右に曲がり、まっすぐ進みます。交差点にぶつかったら向かいにある長坂公園の中を突っ切り、出たところにある道をてくてく。すぐに自衛隊の射撃場が見えてきます。通りすぎるまで坂道を上ると……

関口牧場の看板が見えたところで左折。

関口牧場のソフトクリーム直売所です。小さな牧場ですが暖かいシーズンの週末は車の行列ができ、駐車場に入れないことも。歩いてくるとその心配はありません!
直売所ではソフトクリーム以外にもクッキーや牛乳などのおみやげが買えます。しかしソフトクリーム、久しぶりに手に持って「こんなに大きかったかな……」と思ってしまいました。歳かな。
ちなみに横須賀市内にある「すかなごっそ」や「ソレイユの丘」で販売しているものより、こちらのほうが大ぶりではあると思います。歩いてちょっとかいていた汗も引っこむ冷たさがうれしい!
よりみちその② 帝釈天型庚申塔

関口牧場に来るために横切った長坂公園。擁壁下には帝釈天型の庚申塔があります。庚申塔はふつう青面金剛や三猿、猿田彦神などが刻まれることが多いので、帝釈天はちょっと珍しい。
なんでも、浅間山の大噴火とそれにともなう天明の大飢饉(1782〜1788年)のさいに柴又帝釈天が本尊を持ち出し、御利益があるからといって江戸の市中でそれをいろいろな人に写生させたんだそうです。それが庚申信仰と結びつき、めぐり巡って横須賀市内の長坂や芦名の庚申講では帝釈天の掛け軸が使われるようになったんだとか1。この「御利益があるものを複製して使うといい感じになる」という発想、最近だとアマビエが流行ったのにも似ている気がします。なんでそうなるのかたいへん興味深いです。


さて、荻野川まで戻ってきました。ソフトクリームも舐めおわったし、続きを歩きましょう!
斉田浜まで

少し進んだ先、ほんのちょっとだけ川沿いの遊歩道がとぎれます。階段を上りおわったら橋を渡って一般道に出ます。

庚申塔のある交差点まで進んで右折。

もうすぐ国道134号線にぶつかります。けっこう歩きましたね。

この場所は見覚えのある方が多いのではないでしょうか。横須賀市立市民病院の手前にある交差点です!

荻野川はここで松越川に合流します。この場所、桜がきれいです。

松越川沿いには右手駐車場の看板下と、左手車道沿い、両方に歩道があります。

まだまだ進みます! とりあえず広い左側を選択。

病院を過ぎ、県立海洋科学高校の敷地と接する場所で気になる建物が。

この形と古さ、旧軍のものっぽいなと思って帰ってから調べました。

海軍機関学校大楠分校の「病舎」という建物でした。今でも使われているんでしょうか。でもつっかえ棒でなんとか保ってる感じだし、どうなんでしょうね。

そんなことを考えている間にだいぶ進みました。引き続き川沿いを歩いていきます。


さっきまで山里の川という印象だったのに、いつのまにか河口っぽくなってしまいました。

たまに魚が跳ねたりもします。

対岸にあるのは横須賀市の西浄化センター。斉田浜は浄化センターの敷地内という扱いのようです。

まっすぐな川沿いを歩くと、海! このあたりには珍しい砂浜があります。遊泳は禁止ですが磯遊びができるのはうれしい。

人気のスズメ型車止め、ピコリーノがありました。いつ見てもかわいい。

ちなみにピコリーノ、つつじの丘入り口には懐かしい旧型があります。スタートとゴールで見比べてみてくださいね。


あまり期待せずにかがんでみたところ、カバザクラ(左)・カガミガイ(中)・サギガイ(右)などの貝殻が拾えました。巻き貝はなんでしょう、ムシロガイとかかな? 桜貝の仲間は割れてしまっているものもありましたが、横須賀ではなかなかまとまって拾えないので見つかるとうれしいです。
帰りは「横須賀市民病院」バス停から
大田和つつじの丘から斉田浜まで、よりみち含めてざっくり1時間30分の散歩でした。ゆっくり遊びたいなら親水広場まで、もしくは関口牧場まで、などなど、ご都合と目的に合わせて歩けるコースではないかと思います。斉田浜や市民病院側から出発しても良さそう。
斉田浜からのお帰りは134号線沿いにある「横須賀市民病院」バス停からどうぞ。衣笠・横須賀中央・野比など各駅方面に出られます。
- 参考:柴又帝釈天の庚申信仰 : 柴又型庚申塔の分布に関する一考察|成城大学リポジトリ ちなみにこの論文を書いたのはSF作家の柴田勝家さんです。