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【横須賀中央】酒 おばんざい・薬膳カレー 泡之音の薬膳カレー(横須賀市本町)

海軍カレーの街よこすかで、薬膳カレーを出すお店

横須賀中央駅から5分ほど歩き、ドブ板通りの路地を曲がると黒いビルが見えてくる。

そのビルの2階にあるのが今回紹介する「酒 おばんざい/薬膳カレー 泡之音」、
海軍カレーが有名な横須賀で、薬膳カレーを出すお店である。

横須賀からアメリカへ。音楽業界から飲食業界へ。

階段を登り店内に入ると、壁に掛かったギターやCD、音楽モチーフの置物やイベントのフライヤーが目に飛び込んでくる。一目見て音楽好きが心地よく感じるであろう空間になっている。

席につきカレーを待つ間に耳に入ってくるのはスピーカーから流れてくる心地よいボーカル。そのボーカルの主が店主の三橋孝一さんだという。

それもそのはず「高校を卒業してすぐ音楽事務所に入って、20歳頃にメジャーデビューしました。」

「でも、若かったんでしょうね(笑)、当時の音楽業界に慣じめずに辞めちゃって、その後すぐアメリカに渡りました。」

渡米後、最初は生活のために飲食店で働くことになった三橋さんだったが、徐々に飲食の奥深い世界に惹かれていくことになる。

「アメリカの飲食店で働き始めて以降、調理法だけではなく、食材・調味料・スパイスといった素材そのものにも関心が深まっていって。」

「関心の深まりとともに、それらをより大切にするお店で働きたくなって。イタリアンやフレンチといったお店でも働いてきました。」

その後もずっと、海外や国内の様々なお店で飲食業に携わりづづけた三橋さんが、生まれ故郷の横須賀で店を出すことになったのが13年前。

けれでもオープン時にはまだ「薬膳カレー」は存在していなかった。

「あのね/泡之音」から、「酒 おばんざい/薬膳カレー 泡之音」へ

泡之音オープン時からずっと、自身のキャリアと同様、様々な国や地域の料理を提供してきた三橋さん。

「奇を衒ったものを作りたい訳じゃなくて、飲食の世界に入った時と同じく、食材・調味料・スパイスといった素材そのものといった、根源的なところに向き合いたいんですよね。」

そんな料理に対する姿勢の中で生まれ、夜の営業でもすこぶる評判の良かった「薬膳カレー」を携えて、2019年の8月からランチ営業を始めることになる。

ところがランチ営業にもやっと慣れはじめた2020年の2月頃、泡之音も例に漏れずコロナ禍に見舞われてしまう。

コロナ禍を救ってくれた「薬膳カレー」

けれどもコロナ禍の危機を救ってくれたのも「薬膳カレー」だった。

「時短要請もあって、夜はまともに営業できませんよね(苦笑) 」

「その分、お昼の薬膳カレーランチにより一層力を入れて乗り切りたいと。」

その方針が功を奏し、お昼に新規で来てくれるお客さんが目に見えて増えていったという。

「一人で来てくれる女性のお客様も多く、今では女性7:男性3くらいの比率です。」

「一人で気兼ねなく来てくれるのももちろん嬉しいんですけど、さらに嬉しいことに、後日、パートナーを連れて食べに来てくれる方もいるんです。」

「今ではInstagramを見た市外からのお客さんが来てくれたりもします。」

そんな客層の劇的な変化を受けて、2021年の冬には厨房や客席の改装を決意。

「もっとカレーやカトリ(ステンレス製の小皿)や副菜を作りやすい厨房にしたくて。」

「客席は、女性が一人で来ても過ごしやすいように、窓からの太陽光を多く取り入れて、より明るい雰囲気にしました。」

また、2001年の5月には「スパイス香辛料ソムリエ https://www.asc-jp.com/syokubu/spice 」の資格も取った。

「これを見れば『スパイスに関してちゃんと勉強しているお店なんだろうな』って、はじめて来たお客さんに、少しでも安心感・信頼感を持ってもらえるかと思いまして。」

スパイスで繋がる、スパイスで恩を返す。

昼に新規で訪れてくれるお客さんが増えた一方で、夜に来てくれていて昼は訪れることができないお客さんもいる。

「まだまだ先の見えない状態ですが、夜のメニューもスパイスを活かした料理を提供出来るようにしたいです。」

「昼のお客さんにも喜んでもらえて、夜のお客さんにもより進化した泡之音を楽しんでもらえるようなメニューを揃えたいと思っています。」

と夜の営業再開にも意欲を見せる。

また「アメリカン」なイメージの強いドブ板通りだが、泡之音の周辺を少し歩くだけで「フィリピン」「ベトナム 」「タイ」「エジプト」といった文字や国旗を見ることができる。「多国籍感」にも溢れてもいる。

そういった多国籍な店の店員が泡之音のカレーを食べに来てくることもあり、三橋さんもまた、近隣の多国籍な飲食店に食べに行くのが好きだという。

「何かアイデアを盗むとかではなくて(笑)、この辺り、色んな国のスパイス料理を楽しむといった面でも楽しいんですよ。毎日カレーを作る訳じゃないですか?そうすると段々自分の味に慣れてしまって、善し悪しを客観的に判断出来なくなってくるんです(苦笑)」

「そういう時に他の店で、客としてフラットになって食べると舌がリセットされて、自分の作った料理に改めて向き合えるんです。」

「で、改めて『うん、これならお客さんにも喜んでもらえる!』って思えるんです。」

夜のメニューでは、こうした多国籍な近隣の店の店員たちにも喜んでもらえるものを作りたいとも思っている。

「今は「南インド」と言われることもありますが、「南インド」に限らず、世界中の料理・食材・スパイス(香辛料)に関心がありますし、その国でその国の人たちが食べているものが好きなんです。」

「手に入る食材、入らない食材もありますし、全く同じにはできないものもありますけど、少しでも喜んでもらえたら自分も嬉しいです。」

海軍カレーの街横須賀。

アメリカンなイメージのドブ板通り。

そんな場所で多国籍な店に囲まれながら、今日も薬膳カレーを作り続ける。

けれどもそれは三橋さんの言う通り、奇を衒ったものではなく、とても自然にそこで生まれる「薬膳カレー」なのかもしれないと思えてくるのである。

メニュー(ランチ)

本日の薬膳カレー

色とりどりのカトリ(ステンンレス製の小皿)が並ぶ、目にも舌にも楽しい泡之音のターリー(ステンンレス製のプレート)だが、今も仕込みには長い時間を費やしている。

「一番美味しい状態で出さないと、伝わっちゃうんですよね。お客さんに。」

これだけの種類を日々仕込むのはかなり大変そうだが「基本的なバリエーションはあるんです。あるんですけど、やっぱり旬の美味しい食材が手に入るとなるとそれを使いたくなったりして(笑)」

「この辺りの意識はイタリアンやフレンチで叩き込まれた食材への敬意のようなものも強く働いている気がします。」

「イラストでカトリの説明を描いているんですけど、描いていると浮かんでくるんですよね。ここはどんな色のカトリにしたらいいか。」

こうして、見た目も美しく、食べても美味しい泡之音のターリーは、今日もお客さんに喜んでもらえることを願って仕込まれている。

店舗情報

酒 おばんざい・薬膳カレー 泡之音

公式Instagram:https://www.instagram.com/anone.sake.curry

所在地:〒238-0041 神奈川県横須賀市本町1−9 三協ビル 2F

GoogleMap:https://goo.gl/maps/4CrFNXcCjAKtcA2Q9

有名ではないけれど「ここが横須賀」であることを実感できる「大滝町公園」

泡之音から徒歩3分ほど歩き、良長院の脇を少し登ったところにある「大滝町公園」。
規模も小さく遊具も少ない公園だが、「OFF LIMITS」の看板や急な坂道の階段があり、横須賀の新たなランドマークタワー「ザ・タワー横須賀中央」も見える、「ここが横須賀」であることを実感できる公園でもある。時にはインターナショナル・スクールの園児たちが遊ぶ声が聞こえてくることもある。

公園情報

大滝町公園

所在地:〒238-0008 神奈川県横須賀市大滝町1丁目30

GoogleMap:https://goo.gl/maps/5e1AC21Wm9EE1Zpz8

今回歩いたルート

県立大学_LOOKUP YOKOSUKAとうみかぜ公園 - Google My Maps
県立大学_LOOKUP YOKOSUKAとうみかぜ公園
Megane graphics(メガネ グラフィックス)
Megane graphics(メガネ グラフィックス)

デザイナー。
リモートワークの合間に横須賀の個人飲食店にお昼を食べに行くのが好き。
横須賀の個人飲食店のお仕事をするのも好き。
でも、好きな横須賀の個人飲食店が次々閉店していくのが心配。

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