
読者の皆さん。お久しぶりです。
横須賀市・三浦半島の魚の魅力を発信するため、前回は三浦半島西側の「相模湾側」の長井地区を取材したので、今度は東側の「東京湾側」の松輪地区に行ってきました。
今回歩いたルート
電車やバスでは移動に時間がかかり、取材時(7月中旬)は暑さが強いため、今回もレンタカーを使いました。
(バスで行く場合は、京急バスの「三浦海岸駅」発の便で、剱崎バス停から下車し、間口港まで下っていくイメージです)
なお、三浦半島は東側(東京湾)は三浦海岸まで線路が続きますが、西側(相模湾)に面した線路は逗子・葉山駅までとかなり短めなので、公共交通機関で相模湾側を回るときは、ルートをしっかり確認しましょう。
間口漁港へ

当日は横浜横須賀道路、佐原インターを出て長沢方面に進むと海。東京湾の向こうには房総半島。左手の海を見ながら南下し、間口港をめざします。

剱崎方面へ左折。あとは215号線をひたすら進みます。
松輪地区は松輪サバで有名ですが、沖釣りの基地でもあります。「松輪瀬」という漁場やその周辺にはマダイ、6月から解禁されるイサキ、夏~秋口に盛り上がるワラサのコマセ(撒き餌)釣りで多くの釣り客が訪れます。
間口漁港へ到着
細い道を下ると、間口港に到着。

まずはこの看板の左側に、何があるか確認しましょう。


こちらは漁港の荷上げ場ですが、ちょうど1隻の船が水揚げしていました。
迷惑にならないよう、遠くから見てもサバ(かなりの大きさ)のようです。神奈川県のブランド魚・松輪サバをお昼に味わうことはできるでしょうか?

今度は看板の右側を戻って剱崎灯台へ向かいます。
漁船や釣り船が並んでいますが、取材日は時化予報のためか、港内にも何隻か残っている船があり、出船中の釣り船は一部です。近場の釣りなら何とかできる、というところでしょうか。

急な斜面が目立ちます。前回、長井を歩いた時と同じく、こちらもアサガオが鮮やかです。

船を陸に上げるためのワイヤーがあります。

松輪漁協の建物はこちら。

この先、右方向は漁業関係者以外の車は入れませんが、徒歩で向かうのは大丈夫です。
所々に見える「関東ふれあいの道」の案内標を確認して進みましょう。

松輪サバをはじめとする魚をさらに鮮度良く出荷するため、殺菌水を生成するシステムを搭載した船もあります。
首都圏からも間近な漁港なので、素早く消費者に供給できることは強みですが、現在は交通網が発達しています。神奈川県以遠からの鮮魚の供給も充実している中、新鮮な魚にどう付加価値を付けるかが問われている印象です。

別の船を見ると、数本のハリを使うであろうサバ漁にしてはやけにハリが多く、妙だと思ったらキンメダイの漁具が積まれています。(ハリ数は数十本!)
その他、釣り船も数多く停泊しています。

先を進み、小さい階段を登れば剱崎の磯です。
まずは間口灯台

目の前にある小さな灯台が間口灯台。

剱崎灯台は右手の丘の上です。

こちらも起伏が目立ちます。

表示の上では、間もなくですが…。

薄っすら見えるのが房総半島。(鋸南町周辺でしょうか)

漁協の看板(漁業権対象種を一般人が獲らないようにするためのもの)近くの細い道に入ります。



畑を横目に、急な坂をどんどん登ります。

登り切ったら、今度は左折。この道に入ると…。

途中では何度かジャコウアゲハの姿も目に入ります。筆者の近所ではあまり見かけないチョウなので、つい注目します。

こちらはレーダー施設。
剱崎灯台に到着

さらに進むと、ついに剱崎灯台。

当初は明治時代に設置され、日本で7台目の洋式灯台とされています。現在の灯台は関東大震災後にコンクリートで建て直されたものですが、1991年に無人化され、この剱崎灯台と千葉県の洲崎灯台を結んだ内側が東京湾とされています。
いわば、東京湾の目印と言えるでしょう。



灯台脇から間口漁港を望みます。

周辺の景色に目を奪われます。周囲の海と山、そして谷間に段々畑が目に入ります。
三浦半島はこのように起伏が目立ちます。海の中も同じように根や瀬が点在し、そこに湧昇流が発生してプランクトンが湧き、それを捕食する魚たちの生態系が形作られるのでしょう。




間口港に戻ると、ソーラーパネルやコンクリート製タコつぼも。

レンタカーまで戻ると、ちょうど1時間。さすがにお腹が空いてきました。
近くで食べられる食堂までは若干距離があります。
徒歩なら剱崎灯台から一度215号線に戻り、江奈湾方向へ下っていくイメージです。(取材時は車で移動しました)
「地魚料理 松輪」でランチタイム


隣の江奈湾沿いにある「地魚料理 松輪」に向かいます。祝日のため30分ほど待ちます。
でも、その価値はありました。

刺身定食は地魚の旨さを満喫

頼んだ「お刺身3種盛り合わせ定食」では、サワラ、マグロ(メバチ)、キンメダイ、そして「もう1点サービス」として、カンパチの刺身も!

サワラは皮付きの炙りで、冬が一番美味しい印象がありますが、この時期でもこんなに味わいがしっかりしているとは驚きです。
マグロは三崎港の冷凍メバチでしょう。赤身、中トロとも脂と旨味があり、口の中で融けます。
キンメダイも実は初夏が美味という話があり、確かに鮮度と旨味のバランスがとれています。
カンパチは養殖ものと思いますが、やはり脂の濃い味が現代人の口に合うでしょう。
念願の「松輪サバ」のお味は?
これだけでも嬉しいが、松輪に来たならやっぱりサバも食べたいと、「松輪サバ 炙りサバ刺身」も併せて注文。

「ポン酢が合います」と、店員さん。
松輪サバも(サワラと同様)程よく表面を炙り、旨味を引き出しています。口に入れるとすっと溶けていくようです。こんなに脂の乗っていながら上品なサバは良い意味で「想定外」。筆者も松輪サバを食べるのは初めてですが、この味なら人気が出るのも納得。
筆者はカツオのたたきには断然ポン酢を使いますが、分類上はカツオも「スズキ目サバ科」。サバの炙りにポン酢が合うのも納得です!(もちろん、醤油でも美味しく味わえます)

この松輪サバですが、「10月下旬から11月が一番おいしいですよ」とのこと。
昼食の間に、多くの釣り船が帰港してきています。

海の幸を満喫し、江奈港を後にした。
今回は前半はやや歩いて汗だくになりましたが、剱崎灯台を見学し、お昼はちょっと豪華な刺身定食に加え、初挑戦の松輪サバを味わうのは「大人の小旅行」としても相当楽しめます。
首都圏からのアクセスも容易で、日帰りでも気軽に楽しめる三浦半島ですが、まだまだ魅力はいっぱいです。