

今回歩いたルート
急に気温が下がり、すっかり秋らしくなった10月、「今度はどこを見ようか?」と、考えました。
筆者の魚との付き合い方は「見る、釣る、食べる」の3通りですが、長井では釣り、松輪では食をレポートしました。三浦半島で魚を見るなら、京急油壺マリンパークなき今、観音崎自然博物館へ行こうと考え、夫婦で京急線に乗り込み、観音崎方面へ出るバスを目当てに浦賀駅へ向かいました。

浦賀については、すでに樽瀬川さんが記事を書いていますので、お時間ある方はこちらもご覧ください。

バスで途中下車し、観音崎大橋を散策
浦賀駅から観音崎方面へ向かうバスは、1時間当たり2~3本です。
乗り遅れないよう、駅を出てすぐにバス路線案内図を確認し、観音崎方面へのバスへ乗り込みます。

腰越で降り、バスで来た道を少し戻って信号を左折します。

途中には釣具店も。貸しボートで沖へ出れば、鴨居のマダイが釣れる可能性も?

昔ながらの蔵もあります。


信号を左折すると、観音崎大橋です。

東京湾の対岸には房総半島がくっきり見えます。


白い砂も目立ち、予想以上に「水質が良い」と思えます。小さな岩礁が数多く海面から突き出ているので、生き物も数多く住めそうです。

SUPを楽しむグループの姿も。


と、予想以上に楽しみながら観音崎大橋を通ると、たたら浜園地が左手に見えてきます。

(この辺りは戦前一般人の立ち入りが制限されていたそうです)

手ぶらでBBQができるそうです。外で食べるのも気持ちよさそうです。

ここは既に観音崎公園の敷地内です。トイレも完備されているので安心です。

鳥獣保護区になっています。
観音崎自然博物館、その展示は?


観音崎自然博物館に到着。どんな展示があるか興味深いです。


と、いきなり目に入ったのが、アオギスの脚立釣りに使われていた脚立! 東京湾では江戸時代から昭和中期まで続いていた、脚立の上から竿を出す釣りですが、高度経済成長に伴い、アオギスの生息地が減少し(東京湾では絶滅、九州ではアオギスが残っています)現在では過去の遺物になっています。

油壷マリンパークに展示されていたダイオウイカの標本もあります。


その先は淡水魚を展示した水槽(何故かチョウザメまで泳いでました)、近代の船のレプリカが展示されていますが、生物に関する展示はやはり興味深いものです。

東京湾は豊かな漁場です。現在はどんな魚介類が見られるのか、外来種は何がいるか、それら一つ一つを知ることが勉強になります。

時にスナメリの姿を見ることもあります。
貴重な淡水域の生き物たち


順路沿いに進むと、里山と淡水域の展示も充実しています。東京湾という内湾は、多くの流入河川で支えられています。淡水域の生物はより人間の影響を受けやすいので、ここにどんな生き物がいるのかを知ることは、自然環境を理解し、正しく保護・保全することにつながるでしょう。

淡水域の小型ハゼ、ヨシノボリが3種類、ヌマエビ類は7種類もいるのは驚きです。


希少種(天然記念物です)のミヤコタナゴも展示されています。
生き物と遊べるタッチプール

外には子どもたちに人気のタッチプールもあります。


ムラサキウニ、キヌバリ、カサゴ、ムラソイ、ナベカなどが。触りやすいのはダイナンギンポです。

少し遊んでから、展示の続きを見ていきましょう。
生体展示、標本とも充実


こちらは水槽がいくつも置かれ、ハナミノカサゴやオオモンハタ、キュウセンなどが泳いでいます。

海藻や干潟の展示も見逃せません。

少し進むと、深海生物の展示も始まります。

最近は「ゴブリンシャーク」と英名で呼ばれるミツクリザメも迫力があります。

深海ザメとして有名なラブカの標本もあります。走水沖の刺網で獲れたそうですから「すぐそこで上がった」と、言えるでしょう。



続いては「無脊椎動物」と呼ばれる海綿、クラゲ、ヒラムシ、甲殻類などの標本が次々に目に入ります。

筆者が大好きな魚類の展示も充実しています。



サメやエイなどの軟骨魚(マグロに丸い穴を開ける、ダルマザメの標本もありました)、一般的な硬骨魚の展示とも興味深いものです。

長井で水揚げされたカジキ類の頭骨も印象的です。メカジキの吻がどれだけ長いか分かります。



次は爬虫類のウミガメ、哺乳類の鯨、イルカ、そして頭足類(イカやタコ)の展示も奥が深く、とりわけ「足が60本に分かれたタコ」の標本は驚愕です。


また、「温暖化の影響でヒョウモンダコが北上」という紋切り型のニュースも(こちら参照)、この展示を見る限り、信頼性が低そうです。(100年前から相模湾にいたとは驚き)
海の環境と漁業

海の環境を考える展示も見落とすわけにはいきません。


「お化けハゼ」という単語は筆者も目にしたことがありますが、高度経済成長期の影として生じた水質汚染は、様々な生き物に影響を与えます。
マハゼは釣魚、食用魚としても重要な魚なので、環境を保全することは人間の健康のために不可欠だということがうかがえます。


漁業に関する展示も、鴨居のマダイ船の模型をはじめ、打瀬網の模型、漁具やマダイの増殖に関するものなど。「食」と結びつくだけに勉強になります。

魚の資源をどう管理するか、これも重要な課題です。
人間が獲っても、ある程度の魚を残せば、その魚たちが繁殖して増えます。

筆者が大好きなカツオ一本釣りの展示もあります。



ゴジラが出た!

その他はゴジラ(!)…諸説ありますが、初代ゴジラはたたら浜に上陸したことになっているそうですが(赤星さんによると、たたら浜には「ゴジラの足跡」もあるそうです)、博物館でゴジラの展示とは意外です。




今回は「魚に比べると、見る時間は短い」感覚ながら、昆虫類、鳥類、植物も展示されています。また、期間限定で特別展示がありました。
特別展示、クジラって、どんな生き物?

10月1日~30日まで「クジラって、どんな生き物?」(主催:日本鯨類研究所)が開催されました。
鯨、イルカの仲間は世界中で89種類いますが、成長しても4m以下の種類がイルカと呼ばれます。ひげでプランクトンや小魚などをこし取るひげ鯨(シロナガスクジラやザトウクジラ、ミンククジラ)、歯で魚やイカなどを食べる歯鯨(マッコウクジラ、シャチ、イルカ類)と、覚えておきましょう。
通常展示より充実した鯨類の展示物を見ることができます。




アンケートに答えると、鯨の下敷きがもらえます。(鯨の塗り絵もいただきました)




筆者は鯨は見るのも食べるのも好きなので、昼過ぎでお腹がかなり空いてきたにも関わらず、すっかり展示に見入りました。
皆様も是非、足を運んでみてください。次回は後編、県立観音崎公園を歩きます。