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【逗子・葉山】和田義盛夫婦の仏像と芦名城址

葉山の史跡めぐり第3弾! とはいっても今回は横須賀市に入ります。目的地は和田義盛が夫婦で運慶(うんけい)に依頼した仏像がある「浄楽寺(じょうらくじ)」と、三浦の支城「芦名(あしな)城址」!

今回のお散歩ルート

芦名_浄楽寺と芦名城址 - Google My Maps

前回の続きから行く場合は、葉山バス停で「横須賀市民病院行」「佐島マリーナ入口行」「湘南なぎさの丘行」などに乗り換え、浄楽寺バス停で下車します。

逗子駅や逗子・葉山駅から向かう場合は、これらのバスに乗って浄楽寺バス停で降りましょう。

ちなみに乗り換えの葉山バス停は「葉山御用邸」の目の前です。もちろん御用邸内には入れませんが、敷地をぐるっと回った裏側には、驚くほどの透明度の「一色(いっしき)海岸」や、あまり人の手が加わっていない雰囲気の良い岩場「小磯の鼻(こいその はな)」があります。

近くには葉山近代美術館があり、館内にあるオーシャンビューのレストランや、日本庭園内にあるお茶室で一服もおススメです。

浄楽寺

浄楽寺バス停を降りると目の前に浄楽寺があります。ちなみに「みうら1dayきっぷ」の圏内ですが「葉山女子旅きっぷ」では、1つ手前の前田橋(まえだばし)バス停までですので注意しましょう。

浄楽寺バス停

浄楽寺は住職さんが若いのもあって、地域の人や来訪者に色々な方法で「寺」や「歴史」に親しんでもらおうとしています。

たとえば境内には、満昌寺(まんしょうじ)や近殿(ちかた)神社にもあったAR看板があり、浄楽寺の創建者である和田義盛が案内してくれます。

ARで現れた和田義盛

さらに、「歴史体験」として、鎌倉時代の作法で願い事をする体験ができます。

境内には日本郵政の父と言われている前島密夫妻の墓もあります。

浄楽寺縁起

浄楽寺は、頼朝の父・義朝(よしとも)の菩提寺である鎌倉の勝長寿院(ちょうしょうじゅいん)が、建永元(1206)年の台風被害に遭い、和田義盛と北条政子の手によってここに移されたと言われています。

運慶像

運慶は鎌倉初期を代表する天才仏師で、鎌倉幕府をスポンサーにして数々の仏像を作りました。運慶が作ったと伝承のある仏像は多いですが、中には本当に運慶作なのか疑わしいものも多いです。

そんな中、浄楽寺にある運慶作と伝わる仏像を、修理の為解体したところ、にハッキリと「文治5(1189)年3月20日に和田義盛とその妻が運慶に頼んで作らせた」と書かれた木の板が入っていました。

この木の板は月輪形木札といって、仏像の魂の部分です。それに書かれているのだから運慶作に間違いないと認定されました。

運慶像は、毎年春と秋の2回御開帳します。それ以外でも一週間前に予約しておくと見られるようです。

浄楽寺

公式サイト:https://www.jorakuji-jodoshu.com/

芦名城址

続いて、三浦一族の支城、蘆名城址に向かいます。

浄楽寺を出たら左に見える横断歩道を渡り、路地へと入ります。

浄楽寺交差点

路地の先の十字路を右に。

十字路

真っ直ぐいくと突き当りになりますが、突き当りの高台が芦名城址です。

高台

高台は現在保養地となっていて、当時の遺構はありません。石碑はもう少し先にあります。突き当りを左に行きましょう。細い下り階段があります。

下り階段

これを下って行くと小川沿いに出て、崖側に芦名城址の碑と庚申塔が立っています。

芦名城址庚申塔

この庚申塔は元々は高台の上にあったもので、明治時代にここに移されたそうです。ちなみに左から2番目の四角柱型(宝篋印塔型)のものは全国でも珍しい形です。

宝篋印塔(ほうきょういんとう)は元々宝篋印経というお経の一節を書いて納める石塔で、日本には鎌倉時代中期ごろに作られています。この宝篋印塔がいつのモノかは調べがつきませんでしたが、もしかしたら三浦一族に深く関係があるかもしれませんね。

芦名城の主

芦名城には誰が住んでいたかというと、三浦義明の弟、芦名為清(あしな ためきよ)です。為清は伊豆半島との貿易を生業としていました。宝治元(1247)年に三浦本宗家が滅亡し、佐原氏が三浦介となります。この芦名も佐原氏の庶流が領するようになりました。

そして芦名氏は会津若松へと移住し、戦国時代の会津蘆名氏となるのです。

芦名? 葦名? 蘆名?

ちなみに「あしな」という漢字は3通りあります。横須賀にあるあしなは芦名ですが、戦国時代のあしな氏は蘆名と書きます。

でも戦国時代の蘆名は、本来は「葦名」と書き、「蘆名」はかっこつけて画数の多い文字にしているという研究もあります。なので、三浦一族研究者の間では、為清流のあしな氏は「芦名」、会津に行ったあしな氏は「葦名」と区別しているようです。

階段を登って戻り、右へ行くとすぐ芦名バス停があるので、帰りはそこから乗りましょう。

ぷらすのぷらっと散歩

葉山バス停から浄楽寺までも、見どころは多くあり、時間があれば途中下車して散策すると良いでしょう。

例えば立石(たていし)バス停には、三浦半島の知る人ぞ知る景勝地「立石」があり、近くにはトロンとくちどけする食感のプリン「マーロウ」の本店があります。

長者ヶ崎(ちょうじゃがさき)も、夕陽と富士山で有名なカメラスポットです!

<meta charset="utf-8">樽瀬川 真人
樽瀬川 真人

三浦半島の付け根で生まれ育ち、地元の歴史を調べていたらいつのまにか鎌倉時代の三浦の海の底にいた。 

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