横須賀ぷらから通信は「【プラ】ス1時間ここ【から】歩く」をテーマにしたお散歩メディアです。

【YRP野比】最先端の研究開発施設の裏山に横たわる不遇の遊歩道を歩く(光の丘水辺公園)

光の丘水辺公園遊歩道

概要

 光の丘水辺公園は横須賀市光の丘にあるYRP(横須賀リサーチパーク)の敷地の一角にある公園です。YRPは情報通信技術の研究開発拠点で、民間企業や大学などの研究機関が多数集まっています。光の丘水辺公園は4つの人口池と緑地からなる公園で、1999年に開園しました。

 今回紹介するのは、YRPの背後にそびえる裏山の尾根道の遊歩道です。あらかじめ言っておくと、この遊歩道は現地の案内図には水辺公園の一部のように描かれているにも関わらずあまり利用者はいないようで、公園のホームページでも全く触れられていないという不遇の遊歩道です。

 公園の案内図。遊歩道も描かれている

遊歩道の詳細

 遊歩道は養護学校から光の丘の東端にあるトンネル(光の丘隧道)まで東西に約2km延びています。案内図を見ると遊歩道は水辺公園に隣接しているように見えますが、公園内から直接行き来することは出来ません。遊歩道の入り口は、YRPの奥にある養護学校前、トンネルの西側、そして遊歩道の中間地点にある公園の3ヶ所あります(★印)。

遊歩道概略図(案内板に加筆)

 今回は養護学校側から入るルートを紹介します。ゴール付近のトンネルの真上にはかろうと山古墳があり、古墳を目指して進むルートになります。なお、スタート地点である養護学校前の桜並木は市内でも有名で、開花の時期には多くの人が訪れます。

 遊歩道へのアクセスは、京急線の「YRP野比駅」からバスを利用するか、クルマの場合はYRPの周辺にある有料駐車場が利用出来ます。

遊歩道へのアクセス

バスの場合

 京急YRP野比駅から「野4:通信研究所」行き、または「野5、野6:光の丘2番」行きで「YRPセンター」下車

クルマの場合

 光の丘公園駐車場、NTTル・パルク横須賀 光が丘第1駐車場(いずれも有料)を利用

散策開始

 養護学校へ向かって桜並木を進むと右手に公園案内図が現れます。ここが遊歩道の入り口です。案内図の後ろの小路をフェンスに沿って進みます。

遊歩道入り口。案内板が目印
小路を進む。左手が養護学校、右手にはNTTドコモの研究開発センターがある

 やがて道が草むらに覆われ、暗い階段が見えてきます。このまま進んでよいのか一瞬躊躇するような怪しい雰囲気ですが、構わずこの階段を進みます。尾根へ一気に取り付く急勾配の階段なので注意して上ります。標高差は約40メートル、この階段がこの遊歩道の核心部と言えるかもしれません。

尾根へと続く階段

 長い階段を上り切ると尾根道に取り付きます。ここに遊歩道の道標があります。写真の左手がいま上ってきた階段で、遊歩道の進行方向は背面方向です(写真奥に延びている道は行き止り)。

階段を上りきったところ

 ここから気持ちのよい尾根道歩きが始まります。遊歩道と言うよりも登山道と言った方がしっくりくるかも知れません。

最先端の研究施設の裏にあると思えないような光景が続く

 2kmあるので遊歩道としてはそこそこ距離があります。アップダウンもあり歩きごたえがあります。途中、分岐が何箇所かありますが、随所に写真のような道標が設置されているので道迷いの心配はないと思います。

随所に道標が設置されている

 山の尾根道ですので道の片側が切れ落ちている箇所もあります。転倒すると滑落につながる可能性があるのでその点は注意が必要です。

気持ちのいい尾根道。踏み跡は明瞭

 途中、視界がひらけて住宅地の横をすり抜けるような場所に出ます。

住宅のすぐ脇をすり抜ける

 住宅に沿って進むと分岐が現れます。このあたりが遊歩道の中間地点です。正面の階段を下ると公園に出ます(案内板にも描かれている粟田2丁目第6公園)。遊歩道は階段右側に続いている道で、この分岐を過ぎるとふたたび森深い山道となります。

公園(粟田2丁目第6公園)へ続く分岐。エスケープルートとしても利用できる

 この分岐から少し進んだところで目の前がひらけてこの写真のような景色が広がります。峠道のようで、少し急な上りの先に切通しがあります。道の左側には割と最近設置されたと思しき手すりもあります(あまり利用されていない遊歩道ですが整備はされているようです)。

峠道。先に切通しが見える
峠の切通し
雑談・遊歩道の歴史について

 この遊歩道がたどっている尾根道の歴史はよく分かっていません。遊歩道としてはYRPがオープンした1997年から水辺公園が開園した1999年にかけて整備されたのだと思いますが、この峠道は明治時代の地形図にすでに登場しています(切通しも当時のものかも知れません)。遊歩道は、こういった古い道やこの山に何箇所かある送電線の鉄塔の作業道を利用して整備されたのだと考えています。
歴史的農業景観閲覧システムより(出典:農研機構農業環境変動研究センター)

 切通しを通ってすぐのところに四つ辻がありますが、直進以外は行き止りか通行禁止ですので迷わず直進しましょう。しばらく進むと道標があります。行程の3分の2まで来ました。かろうと山古墳を目指して進みます。

スタートから1.2km地点

 しばらく進むと、左手の眺望が開けます。

粟田地区を臨む

 この辺りから所々にピンクのリボンが現れます。これは正しい道であることを示す印で、登山道ではよく見られる光景です。この先、リボンを目印に進めば迷うことはありません。

木に結び付けられたピンクリボン

 かろうと山古墳への分岐が現れました。分岐を右に進めば古墳を経由せずにゴールに向かいますが、ここは左に進みましょう。道はやや分かりにくいですが、ピンクリボンを目印に進みます。

かろうと山古墳分岐
分岐にある道標

 かろうと山古墳に到着しました。14x13メートル・高さ3メートルの楕円状の円墳で、7世紀のものだそうです。昭和27年に発見されました(石棺や全国的に見ても珍しい金銅製副葬品が出土。2008年に横須賀市指定史跡となっています)。木々に覆われているので案内板がなければスルーしてしまうでしょう。

かろうと山古墳
古墳の傍らにある案内板

 古墳をあとにして進みます。古墳はトンネルの真上にあるのでこのあたりから車の音が近くに聞こえるようになります。しばらくすると遊歩道は高度を下げ、トンネル抗口の真上を横切るように進みます。

ピンクリボンを目印に進む
ちょうどトンネル西側抗口の真上あたり

 トンネル前に降り立ちました。ついに踏破しました。正式なコースタイムはありませんが、ゆっくり歩いて50分前後といったところでしょうか。

遊歩道のトンネル側入り口。こちら側にも案内板が設置されている
遊歩道入り口のトンネル(光の丘隧道)。左側のスロープ状の道が遊歩道

 いかがでしょうか? 決して平坦ではない山道を2km歩くのですから散歩というよりハイキングですね。装備もそれなりに必要です。歩きやすい靴、また夏から秋にかけては虫除けスプレーは必須です。

 最先端の研究開発施設の裏山にある不遇の遊歩道、ぜひ歩いてみてください。

Takeching
Takeching


横須賀市在住。市内にある路地裏から谷戸、裏山まで、おもにマイナーな道を愛犬とともに散策するのが日課。特に住宅街にある裏山の隠れた尾根道が好物。
東京都小金井市出身

タイトルとURLをコピーしました