前回に引き続き、三浦半島のお洒落スポットで「映える史跡」を求めてぷらり。今回は鎌倉の歴代将軍が度々遊びに来た、森戸(もりと)の海を見に行きましょう!
今回のお散歩ルート
前回の続きなら「鐙摺(あぶずり)バス停」から。駅から直接行くなら、「JR逗子駅」「京急線逗子・葉山駅」から葉山行きに乗って「森戸神社バス停」で下車します。

車通りが多く、ガードレールもない細い道なので、気をつけながら少し後方に行くと、森戸神社の大鳥居があります。


森戸神社縁起
森戸神社は、古代から葉山の聖地でした。
平治元(1159)年に起こった、平清盛と源義朝の戦「平治の乱」で、一度源氏は平家に敗れ、義朝の息子・頼朝は伊豆へ流罪となりました。しかし代々源氏の家人であった三浦一族が頼朝を支え、頼朝もまた三浦一族を頼りにしていました。
伊豆に流罪中もコッソリと三浦に来ていたという伝承のある頼朝は、その時から森戸神社を篤く信仰して、源氏再興を願いました
治承4(1180)年、京では反清盛派の機運が高まり、頼朝もようやく旗揚げし、鎌倉に幕府を開きました。頼朝はすぐに森戸に、自分が信仰する三島神社の分霊を勧請しました。
以降、頼朝はたびたびこの地に訪れたことが『吾妻鏡』には記されています。そして現在の森戸神社の駐車場となっているあたりに別荘を建てて、そこへ遊覧することが、鎌倉の歴代将軍の恒例行事となりました。
公式サイト:https://www.moritojinja.jp/index.html
森戸神社の境内

森戸神社では2021年6月30日~8月29日まで、京浜急行の「夏詣」という企画に参加していて、期間限定の特別な御朱印を発行しています。感染症対策で御手水舎の水は止められていますが、夏っぽくデコられていました。

駐車場の奥には、さまざまな記念碑や史跡があります。
石原裕次郎記念碑
リアルタイムで知っていなくとも、その名は聞いた事があるでしょう。伝説の俳優石原裕次郎の記念碑です。石原裕次郎は、いわゆる「湘南」という地域の魅力を全国に広めた俳優です。

現在の湘南はどこからどこまでを言うのかとよく論争になりますが、元々は石原裕次郎が青春を過ごした逗子・葉山あたりを湘南と言っていました。……ということは三浦半島民として静かにしかし強く主張しておきたいですねッ!
裕次郎灯台と名島の鳥居
石原裕次郎記念碑の向こうには、視界いっぱいに広がる青い海! 雲のない日なら富士山も見えます。
視界の右に見える灯台は「裕次郎灯台」と呼ばれるもので、よく森戸の海でヨットクルージングを楽しんでいた石原裕次郎を偲び、その3回忌に建てた灯台です。
その隣にある鳥居は名島(なじま)と呼ばれる小さな島に建てられています。昔は陸続きで歩いて行けたようです。島内には「頼朝の泉水」という井戸や柱の跡が残されているらしいですが、私はまだ上陸したことはありません。

名島へは渡航制限などは特にかけられていないませんが、海岸からは700mあるので、水泳によほどの自信が無ければボートやシーカヤックで行くのがおススメです。
夏の間は森戸海岸から渡し船や貸しボートで行く事ができます。他にも「葉山シーカヤックスクール&クラブ」では名島上陸ツアーを通年行っているようです。
江の島と鎌倉
石原裕次郎記念碑の右には、江の島と鎌倉の街が見えます。

森戸の海は特に夕日が美しい事で有名です。森戸に遊びに来た鎌倉の将軍たちは、昼には流鏑馬や相撲で遊び、夕陽を眺め、夜になると月明かりの中を船で鎌倉へ帰ったと言われています。

千貫松
森戸神社本殿の裏手の海岸に大きな岩が聳え立っていて、その頂上には「千貫松(せんがんまつ)」という松の木が生えています。

大岩を貫くように生えている松を見て、源頼朝が「珍しい松だ」と誉めた所、和田義盛が「千貫の価値がある千貫松と呼んでいます」と答えたというエピソードがあります。
う~む、そう言われると、この幹のクネリ具合がなかなか趣深く見えてきますね。
飛柏杉
本殿裏手の階段を登ると、飛柏杉(ひびゃくしん)と呼ばれるビャクシンの木があります。森戸神社のシンボルとなっている御神木です。

頼朝が森戸に三島神社を勧請した時に、三島神社のビャクシンの種がこの地に飛んできて、ここに根付いたとされています。
飛んできた、というのはいかにも伝説ですが、誰かが三島神社のビャクシンの種子をここに植えたとすれば、すごく有り得そうですね!
おまけのぷらり
森戸神社の周辺には、お洒落な飲食店が多々あります。その中でも特におススメしたいのは「デニーズ葉山森戸店」!
全国チェーン店だからと言って、侮ってはいけません。テラス席から見える森戸の海は、絶景そのもの!

こんな「映える」写真だって撮れちゃいます。
それから葉山の史跡巡りはまだまだ続きますが、もし森戸神社から駅まで戻るのなら、「森戸神社バス停」ではなく、隣の「真名瀬(まなせ)バス停」から乗車するのがおススメです。
なぜなら、森戸神社では行に降りる人も多ければ、帰りに乗る人も多いのです。一つ前の真名瀬から乗れば、余裕で座れます。さらに、真名瀬バス停前に広がる真名瀬海岸も、葉山を代表する絶景スポットなのです!

名島の鳥居と富士山が一直線に並び、春分・秋分の日には、富士山の山頂に夕日が落ちる「ダイヤモンド富士」が見える超絶景スポットです。古代の人々がこの地を聖地として大切にしていたことがよくわかります。
「映える史跡」葉山の散歩はまだまだ続きます!