逗子マリーナがある小坪(こつぼ)や披露山(ひろうやま)の周辺は、鎌倉時代は鎌倉と三浦の境目で、鎌倉御家人たちの別荘が多くありました。
現在ものんびりとした時間が流れているような海辺の地域を、いつものように鎌倉時代に思いを馳せながらお散歩してみましょう!
今回のお散歩コース
今回はバスはありますが、本数が少なめなのでレンタサイクリングがおススメです。けれど休日だと駅周辺のレンタサイクルポートは一瞬で借りられてしまいます。
本来なら逗子から披露山へ向かうつもりでしたが、レンタサイクルの状況により、先に逗子マリーナの方へ向かいました。
逗子海岸へ
まず、逗子・葉山駅についたら逗子海岸へ向かいます。北口から市役所の横を真っすぐに進むと、逗子海岸です。

途中には、湘南地域でお馴染み、湘南クッキーの自動販売機もあります。

まっすぐ行けば砂浜ですが、高架下をくぐる前に……

階段から道路に出ましょう。

「海だ~~~!!」
逗子海岸では毎年11月中旬に流鏑馬(やぶさめ)が行われます。これは鎌倉幕府2代将軍源頼家が正治2(1200)年9月2日に、小坪の海辺で笠懸(かさがけ)を行ったことが由来しています。
残念ながら今年(2022年)の流鏑馬は中止のようです。
ちなみに笠懸とは、流鏑馬のように馬に乗って走りながら弓矢で的当てをするものですが、流鏑馬は「神事」・笠懸は「競技」というジャンルの違いがあります。また、流鏑馬は同じ大きさ・高さの的が左に3つですが、笠懸は大きさも高さも違う的が左右にあって、より高度な技術が必要です。
高養寺
さて、逗子海岸を鎌倉方面に進みます。途中には、道の駅のような施設「逗子海岸ロードオアシス」があり、観光客で賑わっています。

そこからもう少し進むと、高台に建つお寺が見えます。ここが高養寺(こうようじ)です。

高養寺は徳富蘆花の小説『不如帰』の舞台ではないかと言われていて、本尊の不動明王は小説の主人公の名前を取って浪子不動と呼ばれています。
浪子不動は元々逗子の池子(神武寺駅近く)にある東昌寺にあったもので、本堂は葉山にあった廃寺慶増院を昭和28(1953)年移設したものです。寺の名前も、葉山にゆかりのあった政治家・高橋是清と犬養毅から取られました。
比較的新しい寺院ではありますが、高台の前には公園が整備されていて、地元の人たちの憩いの場となっているようです。
和賀江島
次に向かうのは逗子と鎌倉の境目にある、現存する最古の人工港の跡「和賀江島(わかえのしま)」です。作られたのは貞永元(1232)年で、3代執権北条泰時が後援しました。
しかし、逗子側から行くとなるとちょっと厄介で……。地図上では十字路になっているけれど、高架で上下に交差しているだけという箇所がいくつかあるんですよね。Google マップ先生もちょっと騙されています。
一応、一つ目のトンネルを抜けた先、道の左側に高架下に通じる細い坂道がありますが、柵があって自転車で通れるかは微妙な細さです。
その先のもう一つのトンネルをくぐって坂を下った後、道の右側に渡って、一つ奥の道に行きたいところですが、車通りが激しい上にしばらく横断歩道がありません。なので、自転車の場合は先に披露山に行って、逗子マリーナへ降りるコースが無難ですね。
どうにか右側の道に入り高架下をくぐったら、すぐそこに和賀江島の碑が建っています。

引き潮の時間帯ならもっとよく見えるのですが、この船の向こうにちょっとみえる岩場が和賀江島の跡です。

六角の井
和賀江島の近くにあるトンネル……をくぐらずに脇の細道に入りましょう。

少し進むと、和賀江島が横から見えるスポットがあります。

ぶっちゃけこっちからの方が見やすいかも……。そして、もう少し行くと道の横にある青いビニールシート……。これが史跡「六角の井」です!!

あまり風情はありませんが、まぁ暮らす人の安全第一ですね!
「六角の井」は鎌倉十井のひとつ。六角といっても、実は八角形です。鎌倉と逗子の境にあったため、「六角分を鎌倉、二角分は逗子」と定めたそうです。
また、別名を「矢の根井戸」といいます。源頼朝の叔父にあたる怪力の武者・源為朝が、配流されていた伊豆大島から放った矢がこの井戸に刺さり、矢尻が残りました。その矢尻は今も井戸の中ほどにあるそうです。

披露山
さていよいよ披露山に上ります。先ほどのトンネルをくぐりって逗子マリーナを突っ切り小坪漁港まで行きます。ちなみに小坪漁港は鎌倉時代から続く漁港です。
高架下をくぐり橋を渡ったら、右に行ってひたすら坂を登って行きます。

ちなみに逗子マリーナ側から登ると電動自転車が負けるほどの坂道ですので、逗子マリーナ内にあるハローサイクリングのレンタサイクルポートに乗り捨てて行くのもひとつのパターンです。
披露山は一説によれば、源頼朝がこの山に御家人たちを集めて、手柄を立てた者や地方からの貢ぎ物を披露したことが由来と言われています。
そして鎌倉時代には、幕府の重臣たちの高級別荘地でした。現在も披露山は整然とした住宅地となっています。建物は現代風ですが、当時からこんな感じだったのかもと、想像が広がりますね!
披露山公園には鳥や猿などがいる小さな動物園があります。

公園からは逗子市内を一望できる絶景が!!

披露山からの風景は「逗子八景」の1つで『披露山の暮雪』という名がつけられています。雪景色を見てみたいなぁと思いつつも、雪の日にここまで来るのはちょっと……。というジレンマ。
ぷらすのぷらり
披露山から戻るときは、自転車で坂を下るのもよし! バスで帰るのもよし!
体力に自信があるなら、ハイキングコースを降りて行くのもアリです。

コースはいくつかあり、浪子不動へ行く道や、小坪海岸の大崎浜へ降りる道。くねくね曲がって逗子海岸へ続く「七曲り」もあります。
徳冨蘆花ゆかりの蘆花記念公園からハイキングコースに入ることもできます。