鎌倉時代、将軍の宴会場もあった三浦三崎。その最大の遊び場はどこかといえば、やはり城ヶ島(じょうがしま)! というわけで、今回は城ヶ島をぐるっと回ってみましょう!
今回のお散歩ルート
城ヶ島へは、三崎口駅から「城ヶ島行き」のバスに乗ります。前回の続きからなら、「三崎港バス停」。大椿寺からは「椿の御所バス停」から乗車します。
「白秋碑前(はくしゅうひ まえ)バス停」で下車し、城ヶ島公園に向かって、その後南の遊歩道を歩いて、「城ヶ島バス停」で帰るルートです。
城ヶ島公園へぷらり
「白秋碑前」で下車したら、目の前の駐車場奥にあるトンネルに向かいます。

トンネルの先を坂を登ると、また駐車場が見えてきます。どんどん奥へ進みましょう。運が良ければ城ヶ島名物「落ちてる猫」にも遭遇できます。

第1駐車場の奥に立派なゲートがありますが、城ヶ島公園はもちろん入場無料です。

城ヶ島公園は、城ヶ島の東側半分を占める広大な公園です。夏はあじさい、秋はススキ、冬は八重水仙が咲き乱れます。また貴重なウミウの生息地でもあり、毎年11月から4月にかけて観察ができます。

公園内にはいくつかの広場があります。
北側に開けた「うみのね広場」からは、三浦半島の岸壁が一望でき、大昔からの景色を想像しやすいです。

さらに奥にあるピクニック広場には、令和2(2020)年に建てられた、とんがり屋根の灯台「安房埼(あわさき)灯台」があります。
昔は公園から階段を降りた岩場にありましたが、老朽化のため建て替えを行い、その時にデザインを一般公募しました。

……実はこの記事を書いている、たった今気づいたんですが……。このカラーリング、もしかして「大根」かしら……。まさに三浦……!!
びゃくーんの木
さて、本題の史跡巡りですが、実は岩場に降りることになります。わりと危険な道ですので以下の条件が揃った時にオススメします。
- 足腰体力には自信がある
- 履き慣れた滑りにくい靴を履いている(ヒール・サンダルNG)
- 前日と当日の天気は「晴れ」
- 海が荒れてない
- 引き潮の時間帯
以上、準備と覚悟はいいでしょうか。
では、ピクニック広場の奥にある階段から、磯へと降りましょう。


階段を降りた先が、「安房埼」と呼ばれる磯です。正面に見えるのは、房総半島の南側「安房国」です。三浦半島の三浦一族と交友関係があり、姻戚関係も結んでいました。
階段を降りてすぐ右にある茂みには、かつて「びゃくーんの木」と呼ばれる大木がありました。鎌倉時代、ここで宴会を開いた源頼朝は、宴会で使った楊枝を刺したら、根が生えて成長し、大きな木となりました。しかし、江戸時代の台風の被害にあり、現在は残っていません。
なぜ「びゃくーんの木」なのかは謎です。三浦の古書に「びゃくーん」と書いてあったらしいのですが、私が思うに、それは「びゃくしん」なのでは……?
水っ垂れ
さて、ここからがいよいよ本番。階段を降りた先を、海岸沿いに左斜め後ろに向かいます。

思いっきり岩場です。気をつけて!

地層好きには堪らない風景が広がっています。

ここに来るたびに思うのですけど、頼朝さん、ここで宴会する時、本当にここを歩いたんですかね? 和田義盛か佐原十郎あたりにお姫様だっこでもされてたんじゃないですかね?

まだまだ奥に行きますよ~~~!

岩場を進むコツ……? 「行ける!」と思った場所に「エイヤッ!」と足を踏みしめます。無理と思ったら引き返して、この記事の写真で我慢してください。

勇気を出して岩の先端に立ち、左を見ると……。

この、チョロチョロと流れる水が見えるでしょうか。これが、城ヶ島の宴会の時に、頼朝が指を突っ込んだら湧き出て来た石清水「水っ垂れ(みずったれ)」です。頼朝はこの石清水をとても気に入り、お茶にして飲んだり、硯に使ったりしたそうです。
……正確には、崖に掘られた洞窟の中にしみ出した水を貯める井戸を「水っ垂れ」と呼び、このチョロチョロはその井戸から溢れた水が、洞窟から海に流れているものです。しかしこれ以上進むのは流石に岩場に慣れた地元民でも危険すぎますし、メディアとしてもおススメできないので、このチョロチョロで我慢してください。
ちなみに、この水っ垂れ付近の岸は、頼朝がよく遊んだ場所で「遊ヶ崎(ゆがさき)」と呼ばれています。

その他城ヶ島の絶景スポット
さて、史跡に満足したら、階段の場所まで戻りましょう。城ヶ島南岸をぐるっと半周します。スリルと冒険を求めるなら、このまま磯伝いに岩場を進むのも良いですが、今回は素直に階段の昇って遊歩道を進みます。
ピクニック公園から望む太平洋
長い階段を登ってピクニック公園についたら、展望台に上ってみましょう。ご覧ください、この雄大さ!

正面に見える島影は伊豆大島です。
ウミウ展望台
第1駐車場を戻ったら、左の歩道を進みましょう。

すると、ウミウ展望台への看板があるので、それに従います。
ウミウ展望台は、その名の通りに冬から春にかけてウミウが観察できるポイントで、「三浦八景」の1つにもなっています。

みはらし広場
さらに進むと、「みはらし広場」があります。ベンチに座って波の音と海風を浴びていると、時が止まったような感覚になります。

楫の三郎山神社
さらに進むと、島の西側の商店街に辿り着きます。商店街を突き抜けたら、ゴールの城ヶ島バス停です。でも、バスに乗る前にちょっと駐車場の奥に行ってみましょう。
この小さな山が「楫(かじ)の三郎山神社」です。

近づくと、強い海風で木々が横倒しの状態で生えているのがわかります。この神社は、三崎の海南神社の祭神「藤原資盈(ふじわらの すけみつ)」の家臣で、船の舵取り名人だった「三郎」を祀っています。
ちなみに、島の東の安房埼には、同じく資盈の家臣「四郎」を祀る「洲乃御前(すのみさき)神社」があります。今回はスルーしていますが、安房埼の由緒書き看板の横から入る獣道っぽい道から行けます。
四郎は岩に噛みつき鉄を切り裂くほどの豪傑だったと言われていますが……ほんとうに藤原資盈って何者だったんでしょうね。