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【三崎口】関東ふれあいの道から「三浦・岩礁のみち」を歩く(宮川港〜盗人狩〜毘沙門港)

これまで長井港や荒崎などを歩いていて、ちょこちょこ目に入ってきていた「関東ふれあいの道」という案内。

名称の通り、関東ふれあいの道とは関東地方をぐるっと一周する(想定で)一都六県にまたがった長大なハイキングコースなのだそう。神奈川県は三浦半島から始まり、相模湾沿いを大磯まで進んでから丹沢方面に向かい、津久井湖をすぎて東京都へと続いていくようです。

関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)
関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)についてのページです。

さて、たいへん魅力的なこのコースですが、問題は距離。1コースがかなりの長さなんです。今回歩いてみたのは神奈川県内の1コース目「三浦・岩礁のみち」なのですが、こちらは総延長が10km。ぷらからライター陣ならそこまで問題じゃないかもしれませんが、ふつうに考えたらかなりの健脚でないと歩き通せないでしょう。

というわけで、現実的なコースとして三浦市の宮川湾から毘沙門湾までを切り出して歩いてみました。途中には「泥棒を追い詰めたらあまりの断崖絶壁に足がすくんでしまい、簡単に捕まってしまった」という逸話が残る景観地「盗人狩(ぬすっとがり)」もあります。

盗人狩 | みうら観光ガイド

公共交通機関の便がたいへん悪いこのあたり、がんばってバスを待つか、もっとがんばって駅まで歩くか、はたまた車で行くか……迷うところではありますが、とりあえずわたしは「宮川公園」からスタートします!

今回歩いたルート

宮川_盗人狩経由で宮川港〜毘沙門湾を歩く - Google My Maps

宮川公園

「宮川町」バス停から海のほうに歩くとぶつかる丁字路

取材日は2023年2月中旬。城ヶ島のFISHSTANDさんを訪問したあとに歩きました。

なので、わたしは「三崎港」からバスに乗り、「宮川町」で下車。ここからすぐの場所に「宮川公園」という公園があります。ここを仮の出発地としました!

宮川橋からは宮川公園にある風車が見えます
でっかいでっかい
宮川公園

宮川公園は道路をはさんだ向かいに利用者用の駐車場があります。ぼーっと風車を眺めるために訪れる人もちょこちょこいらっしゃいますよね。

マグロと大根

三浦半島には「自転車半島宣言」というものがありまして、サイクリングコースが設定されています。歩いたり自転車に乗ったり忙しいですね!

三浦半島サイクリング
三浦半島は変化に富んだ地形で、海岸や程よい高さで眺めのよい丘が連続するコースは、サイクリストたちの人気となっています。また、のんびりとおしゃれなカフェをめぐる街乗りツーリングなど、多彩なサイクリングが楽しめるのも三浦半島の魅力です。

半島内の全8箇所には「マイルストーン」と呼ばれるモニュメントがありまして、「マグロと大根」はそのうちのひとつです。これまでぷらからが歩いた場所だと「荒崎公園」にも「タカアシガニ」のマイルストーンがあったそうなのですが、まったく気づいていませんでした。残念……。

この夕焼けを見た浜にあるそうです
マグロと大根と風車

宮川港へ

さて、宮川港へ向かうためには、実は先ほど歩いた宮川橋の下を通る道に抜けなくてはいけません。くわしくは地図をご覧いただきたいのですが、宮川公園からよりも宮川町バス停からのほうがアクセスがよいです。つまり今回宮川公園に寄ったのは完全なる寄り道でした。

公園駐車場わきを抜けて畑の中の道を行きます

ですので、ルートマップは大回りになっていますが、バスでお越しの方はバス停からそのまま宮川港へ向かわれたほうがよいと思います。

墜落

農地らしくトンビの凧が風に飛ばされて落ちていました。

宮川橋が頭上に

宮川橋をくぐった先にある波板の建物は、以前「宮川ベーグル」というベーグル屋さんがあったところ。現在はギャラリーになっているそうですが、この日は閉まっていました。

宮川港につきました

宮川港には有料駐車場があります。車でおいでの方はここに止めて歩くのがいちばん面倒がないかな、と思います。ちなみに今回の終点、毘沙門港のほうには駐車場がありませんのでご注意を!

「進入禁止」なのは車両だけなようです

湾沿いに道を歩いていくと車止めがあります。ここから先に車は入れません。

関東ふれあいの道の案内がありました

駐車場の係の方に聞いてみたところ、「盗人狩まではけっこう距離がありますよ」とのこと。1.3kmといわれるとたいしたことがないようにも思いますが、足場が悪い岩礁地帯です。注意していきたいと思います!

こんな案内板も
みうら宮川フィッシャリーナ

しばらく行くと舗装路がなくなり、岩場になりました。ここはヨットやクルーザーの港。

入江を回りこんで進みます
ぽこっと小山が

おそらく隆起と浸食でできたのだと思いますが、このあたりには写真のような岬の先端が小山になったような場所がいくつもあります。おもしろい景観! ちなみにこの山は「観音山」と呼ばれているそう。

うっすら刻まれた階段

雄大さにどきどきする場所だな……と思いながら歩きました。でもこのあと、まだまだ全然だったことを思い知ります。

このへんは道なき道。だいたいの目星をつけて進みます
あ、道間違ってない、と安心するやつ

塩田跡

思わず「うおっ」と声が出ました

崖の道を通り抜けるとどーんと広がる圧倒的な岩場。こりゃすごいです。

ぽこぽこ

怪獣の足跡かしら……と思いたくなってしまう、明らかに人工的な穴がたくさん空いています。なんだろうと思っていたのですが、帰宅してから調べたところ、ここはなんと塩田の跡なんだそう。仮面ライダーなどのロケ地にもたびたび使われているそうです。知らなかった。

からっからに乾いた場所に緑がなんとかへばりついているこの雰囲気、ちょっと日本離れしているような。

目指す方向を望みます
塩ビパイプが埋まっているモルタルの上を歩きます

足場が悪くなってきました。塩ビパイプより右手は岩がごろごろしている上にかなり海水をかぶっているので、長靴でないと歩けないと思います。このモルタルの上を通って大丈夫なんだろうか……と思いつつ歩きます。

「足元注意」

「足元注意」と書かれていることにより、あ、通って大丈夫なんだ、と安心。しかしもうすでに十分足元あやしかったけどなんで今さら? と思いました。思いましたが、この岩場を越えてすぐに意味がわかりました。左手には崖が迫っていて、右手はちょっと段差が落ちこんでいる、というすごい感じのところを歩く羽目に。思わず「山伏じゃねえんだ」と呟きます。

いちばん大変だったところは大変すぎて写真が撮れませんでした

実際この岩礁地帯、満潮のときはふつうに水をかぶってしまうこともあるそう。歩くときはその日の潮位表をぜひご確認ください。

気象庁 | 潮汐・海面水位のデータ 潮位表 油壺(ABURATSUBO)
気象庁が提供するページです

ちなみに取材日の満潮は午前11時15分。歩いたのは15時台でした。

いっしゅんだけ世の中から人類が絶えてしまったのでは……という妄想にふけりたくなる光景。

なかなか日常ではお目にかからない風景が続きます。ただ、「今津波が来たらかなりまずいな……」とも思いました。逃げ道は宮川港に戻るか、毘沙門までがんばるか、どっちかです。

でもめちゃくちゃかっこいい景色

もうちょっと歩くと盗人狩です!

盗人狩

盗人は上から見おろして、足がすくんじゃったわけですね

深く深くえぐれた入り江をもつ盗人狩。写真だとなかなか伝わらないのですが、かなりの高低差です。

しかもこの入り江には足元が透けて見える橋がかかっており、渡っているあいだも波が寄せては渦巻き、砕けては散り。すごい迫力。

橋の上から撮影
岩をえぐって波がさかまきます

毘沙門港へ

それまで人影がぜんぜんなかったのですが、盗人狩をすぎると釣りをしている人がちらほら見受けられます。よかった、人類滅びてなかった。

すごい岩

堆積した地層が隆起で持ち上がったうえに海水が浸食したことでこんなかたちになったんでしょうか。

毘沙門港が見えてきました!

このへんで、ようやくふつうのスニーカーでも波打ち際に寄れるかも、と思える平坦さになってきました。ちょっと波の様子を……

ばしゃーん!

やっぱりなかなか手強かったです。

あ、道って感じ

ただの岩場から砂をかぶった岩場に変わり、そして漁港へと続きます。よーし、歩ききったぞ!

帰り道は何通りか

宮川に車を置いてきた方は、写真に写っている高架の道からお戻りになるのがいいと思います。宮川公園の前に出る道です。こっち側なら1kmもないので、ほんとあっという間なんですよね。

公共交通機関で帰る場合、最も近いバス停は坂道を上ったところにある「毘沙門」です(「毘沙門天入口」も近そうなのですが、丘の上なのですごい回り道になってしまいます)。もしくはちょっと歩いて「剱崎」。ここから「海34・35」系統・三浦海岸行きのバスに乗れますが、問題は本数です。1時間に多くて3本、1本しかないことも。かなり少ないです。

京浜急行バス 時刻表検索

というわけで、迷いましたが今回は三崎口駅に行くバスに乗れる「松輪入口」バス停まで歩いてみることにしました。

京浜急行バス 時刻表検索

最初にめちゃくちゃ急で厳しい坂道があるのと、畑の中をてくてく歩いて行くのが夕暮れどきにはちょっとさびしいのと、まあまあ距離があるのと……いろいろあるのですが、なんとか帰れました。

「道路で遊ばないでね!」と言いつつ道路で遊んでいる様子の大根

ルートはマップでご確認ください。疲れているときは無理せずバスを待ってお帰りくださいね。

赤星友香
赤星友香

横須賀ぷらから通信主宰。クロシェター / ライター。普段はpiggiesagogoという屋号で編み図を作ったり、別館1617という自主レーベルで本を作ったりしています。横須賀育ちの北関東在住で、わりとつねに三浦半島に行く口実を探しています。

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