今回歩いたルート

横須賀市が昭和の終わりごろ〜平成はじめにかけて行っていた「グリーンウォッチングヨコスカ」という事業。市内あちこちに作られた散策コースをたどってみる記事を、これまでいくつかお届けしてきました。
今回はその中から「武山コース」を歩きます。なんと、「武山」と書いてあるにもかかわらず山としての武山は完全スルー。じゃあどこを歩くの? というと、横須賀市立武山中学校近くにある「西公園」から始まります。
西公園からスタート!
西公園には駐車場がありますが、利用料金がかかります。あまり広い駐車場でもないので、公園内のテニスコート等を利用している人がいると空きがないこともありそう。
公共交通機関でなら、三崎街道沿いの「一騎塚」バス停から徒歩で5分ほどです。
西公園について

斜面の途中、道路から見ると少し高い位置にあります。中に入ってみないと何があるかわからないタイプの公園。

入り口にある銘板のわきに、見覚えのあるサインが立っています。内容はオオシマザクラについて。

あちこちに残っているグリーンウォッチングヨコスカの案内板……なのですが、印刷面だけは違うものですね。グリーンウォッチングヨコスカのロゴがついていません。他の場所でもちらほら見かける、グリーンウォッチングヨコスカの再利用だと思われます。
オオシマザクラは横須賀市の木なので、市としても紹介に気合いが入っているものと思われます。

ツツジ山の謎
グリーンウォッチングヨコスカの時代、西公園は「西部公園」と呼ばれていたそう。気になるのはブックレットにある以下の記述です。
東側の斜面はツツジ山となっていて、赤、ピンク、白、紫など種類も多く、4月末の花期には一面色とりどりのお花畑となります。
西公園の比較的近くには大田和つつじの丘がありますが、西公園がツツジの名所というのは聞いた覚えがありません。そうだっけ? まずはこれを確かめたいですね。

公園を入ってすぐのところに遊具などがあり、その近くに管理事務所があります。管理事務所をぐるっと回ると、まあまあ大きい野球場とテニスコートが。グリーンウォッチングヨコスカのブックレットによると、つきあたり周辺がツツジ山だということなのですが……

張りめぐらされたフェンス。出入り口が設けられているものの、鍵がかけられていて入れません。斜面は……ツツジの面影なく、どう見ても森であるように見受けられます。が! コンクリート擬木の柵の近くに、何かありますね!

印刷面が失われてしまってもう読めないのですが、見る角度によっては文字のあとがうっすらと確認できます。このタイプの案内板にはコースマップが描かれていることが多かったのですが、もしかしたらこれは例外的にツツジ山の解説板だったのかもしれません。


解説板のさらに先、立ち入りができないようになっているあたりには桜の並木と、足元にツツジとおぼしき植栽が。ここがツツジ山のなごりでしょうか。公園入り口の雰囲気から考えると、並木はオオシマザクラかもしれません。桜の季節に来たいなあ(いっつも言ってる)
高台へ向かいます

グリーンウォッチングヨコスカのルートは西公園を出て高台へと進みます。途中には横須賀市立富士見小学校が。ブックレットによるとイタリアポプラがシンボルツリーだそうなのですが、道路から眺めたかぎりでは見当たらなそう。今もあるのでしょうか?

坂道をえいさほいさと上っていくと、高低差のある三浦半島らしい光景が広がります。


坂道を上る途中では振り返ると相模湾が見えます。と言いつつ写真は反対側の北東方面。空中を一直線に横切る電線、すごいもんですね。


グリーンウォッチングヨコスカ武山コースはこの案内板の中にある「竹川バス停」方面へ向かいます。ちなみに武山はかなりの急坂ですが、舗装されている道なので山登りをあまりしたことがない人でも安心して歩けますよ!

過去にはさぞかしグリーンウォッチングしがいのあったであろう古木……切り株……にしては大きい枯れ木に出会いました。この状態で残っているのがなんとなくユーモラスです。

突き当たりに三崎街道が見えるところまで下りてきました。写真の地点のちょっと先に曲がり角があります。

先日歩いた衣笠公園の入り口も道が細かったですが、こちらもなかなかです。でも大丈夫、ちゃんと道です。

この生垣はカイヅカイブキでしょうか。元々は迫力のある一面の緑だったのでしょうが、生長して下の絵だが払われているので圧迫感が減って逆に歩きやすい感じがします。
竹川沿いに進む

細い路地を抜けると竹川沿いの道に出ました。




謎の縦読みに意識を持っていかれますが、こちらの案内板に描かれたイラストをご覧ください。滝がありますね。

こちらの茶畑橋広場からは滝が見えることになっています。


滝……わかりますでしょうか。写真中央下にグレーの擁壁が写っていまして、擁壁を上方へと回りこむように川が流れます。右手のほうで滝になって落ちています。横須賀「水と環境」研究会による冊子「横須賀の川」によると、滝は高さ5m、幅2mほどの大きさだそう(p.86)。
滝、もうちょっとしっかり見たかったな、と思いながら三崎街道に出ます。しばらく行くと先ほどの竹川が道路と交差するポイントが。

前掲の「横須賀の川」によると、右手奥に見えるマンション(ネアポリス湘南)下に行き止まりの通路があり、そこから滝がよりはっきり見えるそう。ただ「横須賀の川」発刊時には通れたものの、現在は通れなくなっている、という道がちょこちょこあります。ここの道もどうなのかよくわからないので、ご覧になりたいときは現地の案内をご確認ください。

竹川が道路を横切るこのタイミングで、グリーンウォッチングヨコスカ武山コースも道を渡ります。もうしばらく竹川沿いに進んでいきます!

もともと深いところを流れている川なのでしょうが、護岸の効果もあってものすごい高低差に感じます。

対岸に川面まで下りていける階段を見つけました。「たけがわ」という文字とカエルやコイとおぼしき魚たちの楽しいタイルアートがあります。

気になるので近くに行ってみましょう! すぐそばにある橋を渡ります。ちなみに橋を境に今来た方角が横須賀市武、橋の向こうは横須賀市林です。


階段入り口はすべて施錠されており、出入りできないようになっていました。残念!

親水広場としては小規模。でも、道から深く遠いところを流れている竹川に親しむにはちょうど良さそうな施設なのですが……安全上の問題があるのかもしれないですね。
武山公園

さて、橋を境にして親水施設と向かい側にあるのが武山公園です。武山公園なのに林にあるんですね。しかも武山、ここからだとけっこう遠いぞ。
というのはともかく、武山公園はグリーンウォッチングヨコスカの案内板ポイントです。中に入ってみましょう!


川沿いの地形を活かした細長い形の公園。公園から直接竹川に下りられる階段もあったのですが……

残念ながらこちらも施錠されていました。

中高生なのか、どうなのか、とりあえずスプレーでいたずら書きをした人は指摘が図星だったのでしょう。

ちなみに武山公園下の親水エリアにあったタイルアートは、子どもたちとおぼしき人影と魚たち。夢があっていいですね。

さて、公園すみっこにあるこんもりとした丘あたりにグリーンウォッチングヨコスカのなごりがないかな、と眺めてみます。すると、おや?

うわ、めっちゃちゃんと読めるやつがありました! 「現在地」の赤丸も、かすれてはいますが残っています。このあいだ衣笠コースで見つけたやつはカバーのアクリル板が曇ってしまっていて読みづらかったのですが、こちらはカバーがない分読みやすいですね。大田和1丁目のあたりが「宅地造成中」となっているのにも時代を感じます。
一騎塚へ
コースは竹川を離れ、三崎街道経由で一騎塚へと向かいます。



「一騎塚」バス停前で道路を渡り、一騎塚方面へ。一騎塚については樽瀬川さんの記事をどうぞ!


武山へは70メートル先を左折、富士見小の坂を上る。ふむふむ。

先ほど通った坂道の下に出ました。高台にあった武山ハイキングコースの最寄りバス停が一騎塚だということですね。


岩沢ポートリー手前で左折すると、西公園に戻れます。
まだ歩きたい方は、岩沢ポートリー方面へ直進し、西と東を横断するのもおすすめです。津久井浜駅に出られますよ。
公園をめぐるコースでした
グリーンウォッチングヨコスカのブックレットに「町なかの小公園をめぐる3.4kmの周遊コース」と見出しが打ってあったとおり、西公園〜茶畑橋広場〜武山公園〜一騎塚公園をめぐったグリーンウォッチングヨコスカ武山コースでした。
スタート地点の西公園が昔と変わってしまっているのでちょっともの足りないかもしれませんが、グリーンウォッチングヨコスカのなごりがわりと残っているので当時の雰囲気を追体験しやすいコースではありました! ぜひ武山ハイキングのついでにでも足を伸ばしてみてくださいね。