横須賀市が30年ほど前に行っていた「グリーンウォッチングヨコスカ」事業。緑を探して歩く散策コースが市内にいくつも作られていたのを、現在たどるとどうなるのか? という記事をこれまでいくつかお届けしてきました。
今回はその中でもかなり緑が多そうなコース、「衣笠コース」を歩きます。JR衣笠駅から衣笠山を抜け、衣笠城址へと至る道。かなり歩き甲斐がありそうです!
今回歩いたルート
といいつつ、記事タイトルにあるように、実は今回思ったようにコースを歩くことができませんでした。なんとかルートマップ通りに歩けないかと試行錯誤しつつ衣笠山周辺を楽しむ、という記事になっています。
Googleマップのルートは、下記のコースマップをそのまま引き写したものをご紹介しています。

衣笠商店街を抜ける

JR衣笠駅からは「衣笠十字路」バス停のほうに進みます。すぐ右手に見える横浜銀行の手前で曲がり……

お漬物の匂いにそそられてしまう八百屋さん「浜っ子」のわきを通りすぎて、このトンネルを抜けます。上に「↑衣笠病院」とありますね。

トンネルを抜けてすぐ目の前が衣笠病院です。
衣笠病院周辺
コースマップによると、さっそくこのあたりにひとつ案内板があるみたいです。とりあえずルートに従って衣笠病院のまわりをぐるりと歩いていきます。
これまででいちばん状態の良い案内板

おっ、秋明菊(シュウメイギク)が咲いていました! そろそろ終わりかけの風情ですが、晩秋に明るい色の花が咲くのは良いですねえ。ちなみに、秋明菊は「菊」がつきますが本当はアネモネの仲間。アネモネといえば、聖書によく出てくる「百合の花」のことです。

と、アネモネに気を取られていたらその足元にありました、グリーンウォッチングヨコスカの案内板です! これは今まででいちばん保存状態が良いものじゃないでしょうか。地図もきれいに残っていますし、場所の名前もしっかり読めます。
よく残っててくれたなあ。衣笠病院、ありがとうございます。
衣笠山公園へ向かいます

さて、感動さめやらぬままですが先に進みます。道なりに歩いていって、この交差点で左に。

道幅をあとから拡張したのがよくわかる、パッチワークみたいな舗装道路。

いきなりめちゃくちゃ道が細くなります。不安になりますがちゃんと道です、進みましょう。

少し進むともう山です。そう、衣笠山公園の入り口にやってきました!
裏口入園
お気づきかと思いますが、今日は衣笠山に裏口入園してしまった状態になっています。とはいえちゃんと正規の裏口(?)ですので、ここから先が公園ですよ、というのはわりとわかりやすいです。
ゆるっとした空気が漂う




三浦半島の大きな公園はだいたい山である説というのがありますが、衣笠山公園は名前に山が入っているだけのことはあって思いっきり緑の中を進みます。
なんか危険らしい



身近な山、いいよね、などと考えていたら何やら物騒な感じになってきました。「頭上注意」とは何に注意すればいいのでしょうか……。
これだけの緑の中なのでスズメバチも出ます。身近とはいえども虫除けスプレーをするとか、暗い色の服は着ないとか、それなりの準備はしておいたほうが安心ですねえ。
園内マップでルート確認

ここでマップを見つけました。わたしが歩いてきたのは、マップ最上部にある「↑衣笠駅」の方面からです。グリーンウォッチングヨコスカのコースマップと見比べてみると、このまま「水辺通り」「遊具通り」を進んで「ミノムシクグリ」のわきを通って細い道へ。「水仙通り」の途中に合流して「タマ公像」のほうに向かい、折り返して「観音堂」「展望塔」を経由して「ピクニック坂」を下りていけばいいみたいです。

衣笠山公園は平成の初めごろにいくつか大型遊具を新しく導入しています。時期的にはグリーンウォッチングヨコスカのブックレットができたあと。なので、現在の状態とコースマップと比べると少し園路が変わっているはずです。コースマップそのまんまを歩くのは難しいかもしれませんが、だいたいの雰囲気は掴めるでしょう。行ってみましょう!
通行止め!

と思ったら、まさかの立ち入り禁止。いきなり出鼻をくじかれました! すごくない? どうも「わんぱくの水辺」「アスレチック広場」方面が利用禁止になっているみたいです。
毎日衣笠山を犬たちと散歩されている方のブログによると、Twitterの「衣笠山四季折々」というアカウントは管理事務所が運用しているそう。

Twitter上での発信によると2022年の7月末から通行禁止になっていました。取材日は11月頭。これ、いつまで通行できないんでしょう。衣笠山の来園者が増えるのは桜の季節なので、次の春までには直ってるのかなあ。
ホタルの里へと迂回

この広場を奥に進むと竹林があり、その先は平作方面へ抜けられるみたいです。今日わたしが入ってきた入り口のわりと近くに出るようです。

何やらゆるっとした雰囲気の「800m」案内。どこへ。どこから。
裏口入園するとこういうのが不便ですね。駐車場があるいちばん大きな入り口は真反対の場所にあるので、この黄色い案内の正体もそちらのほうに行けばわかるのでしょう。

ホタルの里ができた1997年(平成9年)当時の看板が残っていました。環境としては湿度が高そうですが、けっこうきれいに読めますね。

A・Bまで行けるみたいですね。なんだろうなあ。
コースに戻る再チャレンジ

ホタルの里を過ぎたところで脇道にそれます。グリーンウォッチングヨコスカのコースをたどれないのがちょっと悔しいので、途中からでも合流できないか試してみましょう。

ぱっと見インスタレーションのアート作品みたいですが、れっきとした遊具です。

途中までは歩けていたのですが、遊具があるところでまた通行止めになっていました。遊具も利用禁止。残念です。2022年12月現在、前掲の「衣笠山四季折々」Twitterアカウントから通行止め解除のアナウンスがないのですが、現状はどうなっているのかな。
先ほどご紹介したブログによると、この遊具全体が老朽化のため撤去予定になっている、とのこと。

指定管理者による衣笠山公園公式サイトでは、10月に使用禁止のお知らせのみ出ていました。

てくてく元の道に戻ります。

ここに来て黄色い「○○m」の謎が解けました。園内のウォークロードがあと何メートルあるかの表示だったんですね。

石積みの擁壁がコケやシダ類に覆われているのに出会います。雰囲気があるなあと思ってしまいますが、防災の日特集でいろいろと教えてもらったあとだとちょっと怖いような気も。
コースに戻る再々チャレンジ

急な坂道を上りきると、先ほどのマップと見比べて左に90度回転したマップが出現。北が左になってますね。グリーンウォッチングヨコスカのコースとしては、「現在地」から伸びている黄土色の園路を、「わんぱくの森」を左手に見て歩きたいわけです。ちょっと行ってみましょう!


途中までは歩けていたのですが、残念ながらこちらも通行止めでした。山だから、けっこう管理が大変なんですね……。

迂回路を通るとグリーンウォッチングヨコスカ本来のコースを少し外れてしまうのですが、まあいいか。ちょっとショートカットしましょう。

少し進むと大きな園路に合流し、さらに進むと管理事務所の前に出ました。ここがウォークロードの0m地点なのか。
高台へ向かいます
全体の半分くらいが通行止めになっているのは残念でしたが、なんやかやと楽しみながら衣笠山公園の中心部にやってまいりました。続いては高台に上って衣笠城址方面へと抜けようと思います。
広場


つづら折りになっている坂道を上っていくと、迎えてくれるのは「広場 ひろば」の看板。のんびり。

三浦高校の生徒さんが作ったとおぼしき木彫たちがいます。



グリーンもウォッチしましょう

せっかくグリーンウォッチングヨコスカなのですからグリーンも見ましょう、と辺りを見回します。
目の前にはハート型に刈り込まれた……とぎりぎり思えるツツジ。「記念写真をどうぞ」と言われてもどう撮れば正解なのかはよくわかりませんが、せっかくなので1枚パシャリ。


秋明菊は菊ではありませんがツワブキはキク科です。ややこしい! ツワブキが咲くともう冬なのかなあという感じがします。

衣笠山といえば桜。桜の季節にも来たいですねえ(前回の不入斗コースでも同じようなことを言っていました)。
上の広場と観音堂

もう少し、がんばって坂を上ります。広場の上には……

「上の広場」があります。ゆるるん。

枝を払ったあとが一つ目小僧みたいな大きな木。クスノキかな?

久しぶりに見つけました、グリーンウォッチングヨコスカの案内板です!

ハギの解説が載っています。きれいに読める状態で残っている……のですが、あいにく周辺がすべて刈り払われてしまっています。もうハギを植えるのはやめてしまったのかな。植物がなくなって、案内板だけが残っているケースはこれまでで初めてな気がします。

上の広場には展望台と見せかけて観音堂があります。こちらに上るとけっこう眺望が良いです。
展望塔へ
上の広場から続いている園路を通って、展望塔へと向かいます。このあたりも海が見えます。



標高134.2mの表示が。展望塔に上ってさらに高いところに行ってみましょう!

と言いつつ、見たかったのは景色よりも足元。ここの足元、おもしろいんですよ。

すぐ近くにある大楠山や、最近樽瀬川さんが上っていた披露山など身近な眺望ポイント。これはわかる。
ちょっと遠くの、富士山・丹沢山あたりまでは晴れの日に目視できるから納得ですよね。
問題はその上。カイロ・北京・パリ・ロンドンとあります。どういうこと? って感じですが、だいたいの方角がそっちだよーってことですよね、きっと。人間の能力を大幅に上回る眺望のご案内、スケールが壮大すぎて逆に力が抜けます。
衣笠城址方面へ

グリニッジ標準時に思いを馳せたら、グリーンウォッチングヨコスカのコースに戻ります。展望塔裏手にある山道を下って衣笠城址方面へ。
桜の森

このあたりは「桜の森」。ということで、案内板があるかなーときょろきょろしていると……

木の生長にともない、だいぶ高いところに移動してしまっています。

だいぶ色褪せてしまっていますが「……サクラの代表種です。花……出ると同時に開き、白や……などです。」と読めます。ヤマザクラの仲間でしょうか。

この先はコンクリート擬木の階段が続くのですが、土が流出してしまっており歩くのがけっこう難しいです。足元に注意して下りていきます。


しばらく黙々と歩くと、開けた場所に出ました。目の前の道をまっすぐ行くと横浜横須賀道路の衣笠インター入り口に出ます。

道路側から見るとここが園路であるのはわかりませんね。少し進むとハイキングコースの案内が出ますが、知らないと通りすぎちゃいそう。
道が見つからない
さて、グリーンウォッチングヨコスカのコースはしばらく道沿いを進み、そのあと道路を渡って山道へと入っていく……予定なのですが、どこかな?

三浦縦貫道入り口わきに、何やら階段が見えます。これかな?

残念、管理用通路でした。

もしかしたら答えはその近く、写真だと軽自動車が止まっているすぐ左手にある坂道かもしれません。しかしあまりにも藪がすごいので、ちょっと進む気になれませんでした。迷いますが、別ルートで衣笠城址まで向かい、そこから逆にたどれるか考えてみましょう。
衣笠城址

まっすぐ進むと衣笠城址追手門の碑がある交差点まで出ます。そのあとは以前に樽瀬川さんが歩いてくれたコースで衣笠城址まで向かいましょう。

これは初夏の写真ですが、衣笠城址には梅や桜の木がたくさん植わっており、ささやかながら花の名所になっています。
ここで寄り道したのが運の尽き
さて、「衣笠城址から衣笠山のほうに抜けられるハイキングコースってあったかなあ。覚えてないなあ」などと曖昧な記憶に頼ってしまったわたしは、ふと衣笠城址のお膝元にある大善寺から伸びる山道のことを思い出してしまいました。もしかしてあの道が衣笠山に通じているのでは……?


結論からお伝えするとこの予想は大外れでした。ここは横横道路に沿って進む山道になっていて、てくてく歩くこと数十分、なんと平作に出ちゃいました。場所としては「万葉公園」や「しょうぶ園」の近くです。
ダイジェストでお送りしますね。


この橋を渡ると大楠山に行けます。


平作の住宅街に出ます。なんか今日全体的に肩の力が抜けてないか……?
ちなみにここ、まあまあ本格的な山道でした。倒木もあるし、小さな沢を踏み越える必要もあります。スマートフォンの電波もGPSも問題なく届いていますが、念のため事前にルートを確認してからお入りになるのが良いかと思います。
結局グリーンウォッチングヨコスカのコースはどこだったのか問題

ご参考までに山道の地図をご紹介。赤い線が大善寺の裏から平作へ抜けた山道(北西は切れています)、緑色が立ち入れなかった「管理用通路」。そのわきには草ぼうぼうだった坂道があるのですが、ここは地理院地図で見ても途中でとぎれてしまっています。
というわけでゴールへと至る正確な道筋はわかりませんでした。なんとなく現在の管理用通路が、昔のハイキングコースだったのでは……? という気がしなくもありません。が、ついつい誘惑に負けて寄り道をしてしまったので答え合わせができませんでした。


道の曲がり方を見ても、なんとなく緑色の「管理用通路」がコースだったような気がします。

地図の位置関係から考えるに、おそらく三浦義明を祀った御霊神社の裏手あたりに山道があるんじゃないかと思います。
というわけで、グリーンウォッチングヨコスカの案内板などなどはわりと豊富に残っていたのに、立ち入ることができなくてコースをそのままたどることが全然できない、という、今までにない感じの衣笠コースでした。ちょっと残念なので、次に衣笠城址へ行く機会があったら山道がないか入念に見て回りたいと思います。
ちなみに、グリーンウォッチングヨコスカ衣笠コースの本来のルートは、衣笠城址から一般道を歩いてゴールの「衣笠城址」バス停を目指します。そのルートはこれまでぷらからの記事でご紹介してきたものとまったく同じですので、ご参考になさってください。
ちょっと消化不良ですが、今回もお読みいただいてありがとうございました! 次のグリーンウォッチングヨコスカは武山ルートを爆進する予定です。