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【JR衣笠】平作川を歩く:上・中流域その1(衣笠駅〜平作)

平作川を歩きたい

中学生くらいのころ、北久里浜〜久里浜あたりの平作川沿いを自転車でぶらぶらするのが好きでした。ふと久しぶりにあのあたりを歩いてみようかな、と思ったのですが、そういえば。平作川って、どこまで上流にたどれるんでしょう?

小学校のときにもらった副読本には「平作川の源流は大楠山」と書かれていたように思います。なんとなくずっとそのつもりでいましたが、改めて簡単に調べてみることに。まず横須賀市のウェブサイトで、ざっくりとした流域が描かれた図を見つけました。

出典:平作川沿いで見られる生き物|横須賀市

上中下流域の区分けを横須賀市にならうと、わたしが10代のころぷらぷらしていたのは下流域のようです。道沿いにずっと平作川が見えるエリアなので、地域住民にとってもなじみ深いエリア。

続いて中流域です。衣笠駅くらいまでは住宅の合間を縫って平作川が流れている印象があります。それより上流はどうでしょう。わたしはあまり見たことがないかも……? 気になるので歩いてみることにしました。

途中で消える平作川

歩いてみることに……と言いつつ、まずは地図で流域を眺めます。Googleマップは河川の様子がいまいちわかりにくいので、地理院地図を見てみましょう。

出典:地理院地図

カラフルなのでぱっと見で河川を探しにくいですね。まず衣笠駅より上流にある水の流れを、横須賀市の流域図にならって塗ってみます。

水色が地図上でわかる流域、赤がおそらく暗渠になっているのかなと思われる部分です(2021年11月25日追記:この暗渠の予想は間違っているのでは? というご意見をいただきました。実はわたしもそう思うのですが、実際に歩いてみての答え合わせは次々回くらいにできると思います。お待ちください!)。よくよく見るとふたまたの上流で立ち消えているような感じの部分や、地図上では河川としてつながっているように見えるのに横須賀市の図には示されていない部分などがありますね。このへんが実際にはどんな様子なのか気になります。というわけで、ようやく出発!

今回歩いたルート

平作川①衣笠駅〜平作 - Google My Maps

衣笠駅から出発し、1時間前後(「プラ」ス1時間ここ「から」歩く、で「ぷらから」です!)で歩けなくもないようなルートにするために、今回は衣笠〜平作を巡ってみました。上・中流域第2弾として池上編も予定しています!

衣笠駅から「横須賀しょうぶ園」もしくは「カスヤの森現代美術館」へ行けるルート

ただ平作川を歩くだけだとちょっとつまらない、という方もいらっしゃるかなということで、ルートとしては「横須賀しょうぶ園」もしくは「カスヤの森現代美術館」を目的地とすることにしてみました。お出かけの機会に、ついでに平作川も見てやってくださいね!

横須賀しょうぶ園ホームページ | 6月、約14万株のハナショウブが咲き乱れます。
6月、約14万株のハナショウブが咲き乱れます。
カスヤの森現代美術館 / カスヤの森現代美術館
開館30周年記念 松澤宥 2023年 12月7日[木]- 2024年 2月25日[日]10:00-

衣笠駅を出発

JR「衣笠」駅

衣笠駅を出て、改札向かって右手の脇道に入ります。少し歩くとさっそくマンションの間を縫うようにして川が流れています。

Googleマップには表示されない川。

まずはこの流れを追いかけてみましょう! 少し歩くと平作川の本流があります。

「なかよし橋」です

はぐくみかんと公園がある場所なので「なかよし橋」なのでしょうか。

少し下流に移動すると……

先ほどマンションの間を流れていた支流は、なかよし橋から少し下流のところで本流に合流していました。

さて、なかよし橋のところまで戻りましょう。進行方向には線路に潜るトンネルが。衣笠駅付近はこのタイプの地下道がいくつかありますよね。好きです。これを見ると衣笠だなーって思います。

ちょっと進んで住宅街の中に入ると、さきほどマンションの間を流れていた川がありました。

あっ、うしがみさんがお好きそうな二股階段があります!
住宅に接していますが、少しだけ川のそばに近寄れる場所もあります

こうやっていくつもの川が合流して平作川になるんですね。このあたりは本当に住宅に接しているので、歩く際は近隣への配慮が必要そうです。

支流がいくつもあるエリア

さて、住宅街の中をうろうろするのをいったんやめて衣笠公園と城北小学校に沿う二車線道路に出てきました。

右手が城北小学校です

こちらが平作川の本流。大きさはもう小川ですね。この川は城北小学校の敷地が尽きるあたりで暗渠になって見えなくなってしまいました。

今歩いているあたりはここ

このあたりは地図には載っていないもののもう少し流域がありそうに思えます。また少し住宅街の中に入ってみると……

やっぱりあった!

細い細い川が流れています。できるだけこれを追いかけてみましょう。

ちょろちょろ
ちょろちょろ……

流れはどんどん小さくなり、最後は土管の中に消えて……

側溝になってしまいました
「止まれ」

完全な暗渠になってしまいました。前方緑の壁は衣笠中学校です。この支流はここで終わりなのかな……ともう一度二車線道路に出てきてみたところ……

復活!

先ほど暗渠になっていた本流のほうが、少し上流ではまた顔を出していました。川の流れに沿って道ができているためでしょう、うねうねとして先が見えないのでわくわくする風景です。

ちなみに、横須賀市の流域図によると衣笠中学校の西側にも小さな支流があるみたいなんです。そっちに行くのをすっかり忘れてしまいました。悔しい!

ストリートビューによると少し川沿いに歩ける道がありそうなので、またの機会に見に行ってみたいと思います。

さてさて、気を取り直して本流沿いを歩きます。横須賀市によるとこのあたりから先が上流域ということになります。

ちゃんと「ひらさくがわ」であることが確認できます
お引っ越しのときはたいへんそう。

昔は川に生活排水を流す家庭も今より多かったでしょうから、川岸に住むのはわりと便利だったのだろうなと想像できます。川に沿って町ができている印象。

万葉公園へ

あ、新しい道!

しばらく行くと立体交差がありました。昔からある川沿いの道 vs 便利なバイパス道路。とりあえずは古い道のほうを進んでみましょう。

トンネルをくぐったところ

平作川は大きく直角にカーブしています。写真奥が上流。

また大きくカーブ

高低差! こういう風景、横須賀だなーと思います。ここの擁壁は新しいので「平成の横須賀」って感じ。ブロック積みや石積みだと「昭和の横須賀」だなと思ったりします(とはいえ昭和の終わりごろと平成初期の見分けがつくわけではありませんが……)。

天に昇る心地……?

出ました、矢印が天を指すシリーズ。天空のしょうぶ園が黄色く塗りつぶされているのはいたずらなのか、はたまた……

何か出会えそうな風景

擁壁にわくわくしていて、川の様子に気づくのが遅れました。なにやら堰のようなものができていますね。

なんだろう……と首をひねっていたら答えが書いてありました。

あ、鯉……。

「川をきれいに」「鯉を放流しました」「みんなでかわいがりましょう」でしょうか? 昔は鯉を放流するの、流行りましたね……。

なるほど、鯉用の堰だったのか
向こう側が明るいので不思議な魅力が

ここで新しい道と川沿いの道がふたたび交差します。進んでみると……

万葉公園です

万葉公園という小さな緑地になっています。ベンチがいくつかと池があるだけの小さなスペースですが、トンボなどが観察できるそうです。が……。取材日、三角コーンの張り紙に「ハチに注意!」の文言が。ハチ怖い!

川沿いに踏み分け道があります

「ハチに注意」と言われてしまうとこのさきの踏み分け道をひとりで進む勇気がちょっとしょげます。ハチ怖いよう。不本意ですがいったん新しいほうの道にのぼって迂回しましょう。

三浦枕状溶岩

と、その前に

万葉公園にはひとつ珍しいものがあります。それが「三浦枕状溶岩」。溶岩です。しかも、4500万年も前に起こった海底火山の噴火の、そのときにできた溶岩なんだそう。海底から長い時間をかけて打ち上げられ、この場所に堆積したと考えられています。

縄文時代はこのあたりまで入り江が来ていたと考えられています。そのころ、この溶岩も波に洗われていたりしたのでしょうか。なかなか想像つかない光景をがんばって脳内で再現してみるとちょっとくらくらします。

三浦枕状溶岩(みうらまくらじょうようがん)
新しい道に出ました

立体交差のところまで戻り、新しい道(横須賀葉山線)にのぼりました。上からの風景もなかなかです。写真左手、道の向こう側に渡ります。

こちらのほうがよくわかる万葉公園の全貌

下をのぞくと先ほどの万葉公園があります。

踏み分け道の終点

少し進んで脇道にそれると、さっき歩くのをためらった踏み分け道が合流してきます。ここが万葉公園のおしまいポイント。

川に沿った道

この先川がよく見えるのはバイパス道路のほうになります。また新しい道にのぼります。ちなみにしょうぶ園に向かう方は、ここで川沿いに進まず横須賀葉山線を直進してください。10分ほど歩くとしょうぶ園です。

「奥平作」の風情

左手にエコミル

平作から芦名・佐島方面に抜ける道路。エコミルへ向かうごみ収集車がよく走っています。左手はすぐ平作川です。

あっ!

目の端に鮮やかな青が映りました。カワセミだ!

拡大してもわかりにくい!

シャッターを切っている間に飛んで行ってしまいました、カワセミさん。でもカワセミがいるということはごはんになる魚たちもいるということですし、本気を出して生物観察をすればいろいろな生き物に出会えそうです。なかなかいいじゃないか、平作川!

川に下りることはできませんが、近くまで寄れるスペースはありました。

ヤマト運輸の前あたり

高低差Y字路を左に向かいます。ちなみにこの場所に貴重な自販機がありますので、飲み物が尽きた方は補給を! 11月初頭でしたがなかなか汗をかきました。

右手に川が流れる音が

畑の間を通り抜け、山へと向かう道をてくてく歩きます。このあたりは木がうっそうとしていて川は見えません。水の流れる音はずっと聞こえています。

ここが川が見えた最後の地点

途中で川の近くに下りられる階段がありました。結果的にここが公道から川を視認できる最後のポイントでした。さらに進むと道路沿いに横横道路の横須賀パーキングエリアがあります。そしてその先には……

大楠山ハイキングコースです

行き止まりかと思いきや道がありますね。この山道は横横道路に近づいたり離れたりしながら衣笠城址へと続くようです。わたしは歩いたことがないのですが、Takechingさんならきっとご存じだよな……。

(帰宅してから調べたところ、実際に歩いた方の記録がありました)

山行記録: 新春の関東百・三浦半島編
2021年01月01日(日帰り) 房総・三浦, ハイキング / satonao1jpnの山行記録

ちなみに横須賀市公式のハイキングマップにはほぼ情報が載っていない道です。実際に歩かれる方は事前の情報収集をされたほうがいいかなと思います!

ガイドマップ・パンフレット | 横須賀市観光情報
横須賀の観光・イベント情報サイトです。季節の開花情報から旬のスポット、米軍基地や自衛隊施設の開放イベントまで、ヨコスカがめいっぱい詰まっています.

衣笠城址まで平和にたどり着きたい方は樽瀬川さんの記事もご覧ください!

カスヤの森現代美術館へ

さて、平作川の行く末を見届けたのでわたしは帰途につきます。と言いつつ、ただ戻るのではつまらないので別の目的地へ。「カスヤの森現代美術館」です。

これは「昭和の横須賀」擁壁!

新しい道の交差点まで戻り、住宅街の中をてくてく……と思いきや急な坂道が。そう、ここは横須賀……。

カスヤの森現代美術館は木〜日開館です

そして平作の町を通り抜けてカスヤの森現代美術館へ。本当は開館日に来て展示を見ていくつもりだったのですが、致し方ない事情で月曜日になってしまいました。残念です。2021年12月19日まで開催されている今の企画展が気になっているので、また来ます!

カスヤの森現代美術館 / カスヤの森現代美術館
開館30周年記念 松澤宥 2023年 12月7日[木]- 2024年 2月25日[日]10:00-

流域を再確認

あれ、カワセミポイントは平作川じゃない……?

歩き終わったあともう一度横須賀市の流域図と見比べて気づいたことがありました。見えにくくて申し訳ないのですが、黄緑が歩いたエリア、水色が地図に載っている川、赤が恐らく暗渠になっている部分、紺色が実際に歩いてみて気づいた流域です。

最後にカワセミを見たあたりは、もしかしたら平作川じゃない……? しょうぶ園のほう、少し北東にそれつつ池上を経由して阿部倉へ(下流から見たときに、なので実際の川の流れは逆です)というのが本流なのかもしれません。実際には川があるように見えなかったので、やっぱり暗渠なのかな。これも確かめてみないといけないですね。

次回は池上方面を歩きます

線路により近いほうの池上支流

と言いつつ、次回は平作と同じく衣笠駅から出発できる池上エリアの流域を歩きます。こちらのほうが多少穏やかなお散歩コースです。お楽しみに!

赤星友香
赤星友香

横須賀ぷらから通信主宰。クロシェター / ライター。普段はpiggiesagogoという屋号で編み図を作ったり、別館1617という自主レーベルで本を作ったりしています。横須賀育ちの北関東在住で、わりとつねに三浦半島に行く口実を探しています。

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