「京急長沢」駅周辺の地図を見ていると、いくつか大きめの公園がありました。そのうちのひとつ、その名もそのものずばりの「長沢公園」が気になります。
Googleマップのレビューには「遊具のない公園」「広場がある」などとしか書かれていないのですが、ここには古墳「長沢1号墳」の跡があるはず。実物はもう残っていないのですが、何かしら見て回れるものがあるのでは……そう思って歩きに行ってきました。
今回歩いたルート
駅から長沢公園へのルートがわかりにくい(記事中で説明します!)ので、今回のマップでご確認ください。
京急長沢駅から歩く

「京急長沢」駅から南に向かいます。改札を出たら高架をくぐって、坂を下っていきます。
このときGoogleマップで「長沢公園」への経路を表示させると、公園と同じ山にある「熊野神社」に案内されてしまいます。熊野神社から長沢公園へ直接行き来できる道はありませんのでご注意を。山をぐるりと回って公園の入り口に向かいます。

長沢公園

擁壁のある角をぐるっと曲がると長沢公園の入り口がありました! あまり公園らしい雰囲気がないですが……

覗いてみるといきなり心を折ってくる高さの階段が。とりあえず上ってみます。

階段の先には山道が続いていました。……行ってみます!

それなりに手は入っているので、スニーカーであれば問題なく歩けます。ドレスシューズはやめておきたいところ。

山道はそれほど続かず、すぐに公園の広場に出ます。吹きぬける風がいい感じ!

上りきった場所のすぐ右脇、広場の隅っこになにやら朝礼台のようなものが。こちらが今回のお目当てです。
長沢1号墳

ぽつん、とブロンズ像が置かれています。これだけだと「古墳……かな……?」ってなっちゃいます。

古墳のくわしい説明は、この朝礼台みたいな場所の上り口に取りつけられています。古墳は海に面したこの山の先端、ちょうど公園と住宅地の境目あたりに作られていたそう。造成工事で発見されて発掘調査が行われました。そのあとは住宅地になってしまったので、墳丘は残っていないようです。

というわけでもう一度ブロンズ像を見てみます。海に面した南側、写真のフェンスに近いほうが墳丘、北側に祭祀などを行う平場があります。てっぺんには木棺を入れる穴がふたつ。

三浦半島の古墳は海上から見える場所に作られたものが多いそうです。眺めのいい場所に墓所を……という気持ちももちろんあったでしょうが、海を行き来する人々に権力のありかを示す狙いもあったはず。古代の東京湾も今と変わらず重要な海路だったんでしょうね。

地理院地図で等高線を確認してみると、ちょうど公園内の東屋〜お隣の住宅あたりが墳丘のてっぺんだったように見受けられます。
ちなみにこの場所、中世には経塚として使われていた痕跡もあるそう。霊山・聖地とされる山の上にお経などを納めるのが経塚です。古墳の由来が忘れられた時代にも、なんとなく神聖な場所なのだという記憶だけは残っていたんでしょうか。
長沢1号墳は5世紀のものだそうです。三浦半島にはいくつかの古墳が残っていますが、これより古いものだと長柄桜山古墳群、新しいものだとかろうと山古墳の記事もあります。あわせてご覧ください!
公園内の山道を探索

長沢1号墳と反対側、公園の北側にも出入り口がありました。こちらを歩いてみます。

遊具は鉄棒とパンダが1匹。パンダは体重40kgまでとのことで、大人はお呼びではありませんでした……。

広場を離れ、てくてくと坂を下ります。

右側が今歩いてきた道。そこに合流するもう1本の道がありました。こっちも行ってみます!

こちらのほうが歩く人が少ないらしく、落ち葉や木の枝がたまっています。やや足元が不安定。スニーカーかトレッキングシューズがいいですね。

ちょっと進むとGoogleマップに間違えて連れて行かれそうになった熊野神社が見えてきました。社殿のちょうど裏手にある山に出てきたようです。

さらに進むと開けた場所に出ました。とくに案内板などもないですが、ベンチが置いてあります。

よくよく見ると広場の真ん中当たりにコンクリート製の台座のようなものが埋まっていました。だいぶ古そうです。
このあたりといえば、線路を挟んで北側には「砲台山」があります。名前の通り旧軍の砲台があった場所で、現在も砲座跡が残っています。この場所から砲台山まではちょっと距離がありますが、同じく旧軍関係の設備跡なのでしょうか。

広場の奥にはまだ先に進めそうな、道っぽいものが見えました。もしかしたらこのまま線路を越えて北側に出られるのかもしれません。この場所が旧軍関係の施設だったとしたら、砲台山の南側にある「三浦富士」を越えて、現在京急線が通っている場所を越えて、ここまで歩けたのかもしれないな……と想像しました。
とはいえ本日、山歩きの装備は一切ありません! ここで引き返します。

来た道を引き返し、分岐まで戻ったら下りの道へ。途中の看板には「暗くならないうちに帰ろう」とありました。たしかに、山道には照明らしきものが一切なかったので、夕方以降は暗くてかなり怖いと思います。
しかし「悪い遊びをしない」ってざっくりとしているというか、読む側の主観によって内容が左右されるような決まりごと、どうなんでしょうね……。

山道を下りおわって公道に出てきました。行きに使った出入り口の目と鼻の先、坂道をちょっと上ったところにありました。外から見える印象のわりに、歩きがいのある公園でした。
せっかくなので海へ
最後に、せっかくなので長沢1号墳の場所から眺めた海を経由して帰ります。公園の出入り口からは道なりに坂を下っていきます。突き当たりが海沿いを走る国道134号線です。

いい天気で風も強かったので、空気が澄んでいます。鋸山も見える!
長沢の海岸は遊泳できませんが、意外とシーグラスや貝殻が流れ着いてきているので磯遊びにもってこいです。ちょこっとだけ貝拾いして帰りました。

今回歩いた京急長沢駅と津久井浜駅の間には、三浦一族ゆかりの場所もあります。こちらもよろしければどうぞ!