
FISHSTANDの取材を終え、教えていただいた城ヶ島のおすすめ散策コースを訪ねてみました。フォトスポットとして有名な馬の背洞門を中継に、城ヶ島西側の磯伝いを歩く1時間ほどのコースです。
取材時は2月半ば。冬の終わりということもあり、とにかく澄んだ海がきれいでした。どの季節でも楽しめそうなコースですが、満潮時はちょっと歩きにくいかも。そこだけご注意の上、ぜひお出かけください。FISHSTANDの記事もご一緒にどうぞ!
今回歩いたルート

半鐘のある交番で右に曲がるとFISHSTAND。今回はこの道をまっすぐ進み、散策スタートです。最寄りのバス停は「城ヶ島漁港前」ですが、終点「城ヶ島」バス停まで乗っていってしまうのもよし。
梶の浜



「城ヶ島ダイビングセンター」のウェブサイトによると、ここは「梶の浜」というスポットだそう。初心者向けということで、ダイビングを習いに行ったらまずはここから始まるのかもしれませんね。

写真はちょっとだけ明るくしましたが、ほぼ加工なしです。ほんとにこの色、めちゃめちゃ水が澄んでてきれいです。水面がきらっきら!

浜のすぐわきは駐車場。数年前にできた「城ヶ島RVステーション」という車中泊スポットもこちらにあります。
商店街をさらに奥へ
さて、商店街をさらに南へと進みましょう。途中、旧城ヶ島京急ホテルへと続く遊歩道があります。




遊歩道は途中まで歩くことができますが、解体工事のため行き止まりになっています。以前はここをぐるっと回って城ヶ島灯台まで行くことができたはず。また歩ける日を楽しみにしています。
城ヶ島灯台へ

商店街に戻り、城ヶ島灯台を別ルートで目指します。といっても歩いてすぐ。右手に見えてくる階段から上ります。




階段を上った先は城ヶ島灯台公園。公園とはいいますが、現在ではモルタルを流した広場があるのみです。広々とはしているんですが、なんともトンビに狙われそうなロケーション。

灯台の手前には水仙畑が作られていました。

周囲は植栽に囲まれているので見晴らしは望めませんが、少し先に進むと展望台があります。久しぶりに訪れたらなにやらウォールデコが増えていた城ヶ島灯台。ご健勝そうで何よりです。

灯台からの帰り道、ぼんやり階段を下りたまままっすぐ進んでいたら危うく擁壁から落ちそうになりました。左が今の階段。右は恐らく昔は階段だった場所なのですが、現在は崩落があるらしく立ち入り禁止……のロープが張ってあった痕跡……があります。お気をつけください。ちょっと怖かった。
磯につきました

再び商店街を南に進むと海沿いに出ます。ここから先は岩礁地帯を歩きます!


三浦市の引橋以南は関東大震災の際に海岸線がかなり隆起した、と以前地震工学の専門家から聞いたことがあります。城ヶ島も例外ではないそう。中世から景勝地として知られていたこのあたりですが、当時と今だと風景はかなり変わっているんでしょうね。

しばらく岩礁地帯を歩くと、馬の背洞門が見えてきます。



馬の背洞門だー! となってはいるものの、今歩いている場所自体がとても魅力的なのでついつい足を止めてしまいます。隆起と海水の浸食を繰り返したと思われる不思議な地形が波で洗われている光景は見飽きないものです。

面積は狭いのですが、ほぼ貝殻でできた浜があります。微少貝探しにはもってこい。

馬の背洞門

てくてく歩いて馬の背洞門までやってきました。海水の浸食が長い年月をかけて作り上げた洞穴です。いいお天気なので空と海、影のコントラストがとてもいい感じ。
じっくり見ていて気づいたのですが、馬の背洞門のかたちって城ヶ島に似ていますよね。


馬の背洞門の下が安房崎、右手が遊ヶ崎、上が長津呂崎……に見えません? 偶然でしょうけどおもしろいものです。
公園内の遊歩道へ

ここまで磯伝いに歩いてきましたが、馬の背洞門の先は回り込めないので階段を上って城ヶ島公園内の道へ入ります。



この断崖絶壁が三浦市の鳥・ウミウにとってかっこうの営巣地である、ということをあとで知ります。

赤羽根海岸から上に戻ってくると、ねこに会いました。

普段は少々思うところがあってのらねこに会っても記事には載せないのですが、城ヶ島はTNR(Trap:捕まえて、Neuter:避妊手術をし、Return:元に戻す。のらねこの数を増やさないための取り組み)を積極的に行っている観光地なのでご紹介します。このねこさんも避妊手術済の証=片耳カットをしてありました。



ウミウなんかどうでもよろしいがな、という雰囲気でわたしのことを待っていたねこさん、このあともついてくるついてくる。

このあとねこさんは道を突っ切って写真奥に見える駐車場のほうへ去って行きました。どうやら一緒に戻ってくれる人を探していた模様。人慣れしてるなー……。

さて、城ヶ島公園内の散策はこれにておしまい。ちなみにウミウの営巣地より先、安房崎方面は以前樽瀬川さんが歩いた記事がありますのでぜひご覧くださいね。
白秋要素をちらりとプラス

バスに乗って帰る場合はここでおしまい、なのですが、せっかくなので歩いて城ヶ島大橋を渡り、北原白秋的要素を加味してみようと思います。北原白秋と三崎の関係についてはこちらの記事もどうぞ。

通行料が無料になった城ヶ島大橋。歩いて渡るのは初めてです。どんな感じなんだろ?

橋の真ん中あたりはフェンスがなく、見晴らしを楽しめます。

城ヶ島大橋ができたのは戦後なので、北原白秋の時代はここを渡し船が通っていました。こうやって見ると岩礁がけっこうせり上がっているんだな……船だと大変だったのかな……などと思いを馳せます。

渡りきったあたりが向ヶ崎町。北原白秋が住んでいたあたりです。

魚かつぎ丘にのぼれば馬鈴薯の紫の花いま盛りなり
れいろうと不尽の高嶺のあらはれて馬鈴薯畑の紫の花
北原白秋 雲母集 | 青空文庫
といった歌が詠まれたのはこのあたりなんだと思います。今となってはジャガイモ畑はありませんが、家並みがなくて畑ばかりだったころの様子はなんとなく想像がつきます。見晴らしがよく、富士山も城ヶ島で見るような感じできれいに見えたことでしょう。そして足元にはジャガイモの花。

さらにてくてくと歩いて海伝いに三崎町へ。このあと三崎港そばの「港楽亭」で三崎まぐろラーメンを食べてから次の目的地に向かいました。