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【JR衣笠】三浦一族をスタンプラリーする(1日目)

今回歩いたルート

三浦一族がスタンプラリーになった!

横須賀市が年に1-2回ペースで開催しているデジタルスタンプラリー。市内の指定されたスポットを訪れてGPS情報からスタンプをゲットすると、スタンプ数に合わせて景品に応募できるという仕組みです。

これまで挑戦したことがなかったのですが、このたび三浦一族をテーマにしたスタンプラリーが始まりました。期日は2026年1月4日まで。ぷらからとしては三浦一族なら挑戦してみなければなるまい……と、参加してみることにしました。

三浦一族にまつわる記事はたくさんあるのですが、まずは樽瀬川さんの「ぷらり三浦一族めぐり」からどうぞ。

今回のスタンプラリー、公式サイトはこちら。

ログインして参加しないと詳細を見ることができないのですが、「おすすめコース」を歩ききると応募できる景品と、コースに関係なくスタンプの個数で応募できる景品がそれぞれ別にあります。

ある程度まとまった数のスタンプをゲットできるのは三浦一族の本貫地といわれる衣笠・大矢部周辺と、和田義盛に関係の深い相模湾側。のこりのスポットは市内各地に点在している感じです。そして、なんと三浦市にもスタンプスポットがあります! これ、横須賀市の主催なんだよね……?

アクセスがちょっと難しい

一見して思ったのは、アクセスが難しいな、ということ。中世に焦点を当てたスタンプラリーなので、どうしても現代に残っているのは神社仏閣がメインになります。参拝される方はそのついでにスタンプを押せばいいので、自動車でアクセスすることも可能。でもすべての人が参拝するわけではないと思うので、そうなってくると寺社の駐車場を使うのはちょっとはばかられます。ということは公共交通機関か、徒歩でめぐるのがいいということになるのですが…… なんともエリアが広い!全部を自家用車なしで回ろうとしたら1日ではかなり厳しいことになりそうです。

それでは、横須賀市内にそこまで詳しくない人が、無理なく1日の訪問でスタンプをゲットするにはどうすればいいかな? と考えました。たぶん楽なのはスポット間の距離が短い衣笠・大矢部周辺の「~鎌倉時代の幕開け!源平合戦「衣笠城の戦い」をめぐる~(衣笠ルート)」です。どんな感じになるのか確認するために、ここに行ってみましょう!

「横須賀中央」駅からスタート

「~鎌倉時代の幕開け!源平合戦「衣笠城の戦い」をめぐる~(衣笠ルート)」(以下「衣笠ルート」と略します)の最寄りはJR「衣笠」駅です。ただ、横須賀に市外からおいでの場合は京急を使う方が多いと思うので、今回は「横須賀中央」駅からスタートすることにしました。バスで衣笠方面までアクセスしますので、途中下車をしてスタンプをふたつくらい余分にゲットするもくろみです。

写真中央辺りに見えている青信号。その奥が「横須賀中央」のバス停です。乗り場が3つくらいあり、初めてだとどこでどのバスを待てばいいのかよくわからないと思います。

ので!今回は停留所1個分歩いて、もう少し分かりやすいところでバスに乗ろうと思います。写真は駅の東口を出てデッキから地上に降りたところの交差点。この横断歩道を渡り、右手に進みます。

そこそこの急坂です。覚悟を決めて上ってください!

上りきったところ。奥に見えている黄色信号のほうに進みます。

少し進むと「平坂上」のバス停があります。そう、今上ったのが平坂という名前の坂なので平坂上です。

こちらにも乗り場はふたつありますが、手前のほうで待っていてください。奥の乗り場のバスもだいたい乗って大丈夫なのですが、1系統だけ乗っちゃいけないのがあるんです。ですので念のため。ちなみに乗ってはいけないバスは「須18」です。

曹源寺

バスに揺られて10分ほど。いろんな行き先がありますが、どれに乗っても「曹源寺」バス停で降ります。このあたりは歩道がとても狭いので、歩く際はご注意ください。

青い道路標識のあるほうに向かって進みます。

コーヒー屋さんの角を左折。緑のネットが張られた場所が見えます。以前に別の記事で歩いた宇東川緑道です。

めっちゃクリスマス!

前回歩いたときはハロウィンだったお宅が、今回はクリスマスになっていました。

前回(2022年10月撮影)

今回

春夏はまた別の装飾になるのでしょうか。再訪しなくては!

宇東川緑道から離れ、道なりにまっすぐ。切り通しの道があります。現在はすべて擁壁になっていますが、昔は崖地だったのでしょうね。

眺めよし!

平坂に続く急坂でしたが、上りきった先に曹源寺があります。このあたりでスタンプラリーのサイトを見てみましょう。スタンプは押せるかな?

出典:https://platinumaps.jp/

やったね!

Googleマップのピンが立っている場所などに近づかないといけないのかなと思いましたが、GPS情報はそこまで厳密でなくてよいようです。よかった!

伝承によれば曹源寺は奈良時代に行基が作ったお寺とされています。行基は教科書に載るくらい有名な僧侶ですが、関東まで来てお寺を建てた可能性はいくつかの理由でかなり薄いと思われます。

一方、発掘調査では同時代に奈良で建立されたお寺と同じ瓦が見つかっています。そのため、伝承の中の「奈良時代にできた」という部分はほぼ間違いないそう。今とはちょっと場所が違っていたそうですが(現在の県立横須賀高校あたりにあったそうです)、三浦半島の中でもかなり古い時代からあるお寺です。

奈良時代の瓦をモチーフにした意匠は少し離れた公郷橋で見られます。

時代が下り、鎌倉時代初期には「木造十二神将立像」という12体の仏教神像が制作されました。現在は金沢文庫に寄託されていますが、道路脇に解説板があります。

曹源寺は当時の歴史書『吾妻鏡』にも記載があり、三浦一族から熱心に信仰されていた様子がわかります。当時は今と違って、宗元寺という字があてられていました。

このあたりのことはいろいろな展示・講座などで取り上げられています。オンラインで読めるものとしては神奈川県考古学会の「第7回考古学講座ーかながわの古代寺院」が手ごろでよいと思います。

ちなみに……もしよかったら行基のこと、後半までちょっと覚えていてくださいね。

さて、曹源寺の次のスポットへ向かいたいところですが、その前に山門を見ておきましょう! 前面の坂道を下ります。

こちらが山門。振り返ると下り坂があります。行きとは違う道を通ってバス道路に戻りましょう。

衣笠仲通り商店街ガレリア会館

宇東川緑道のスタート地点(2022年10月撮影)

宇東川緑道のスタート地点を通りすぎ、バス道路に出て左折します。しばらく行くと大きめの十字路があります。

この十字路には横断歩道がありませんので、地下道を使って横断します。こちらの入り口から入り……。

まっすぐ進みます。

突き当たりを「小矢部2丁目 衣笠病院方面」に折れ、階段を上ります。

目の前がアーケード商店街の入り口です。こちらを進みます。

ちょっと歩くとオレンジ色の「横須賀コロッケ」が見えてきます。市内にいくつかあるコロッケ屋さんで、揚げたてをひとつから売ってくれます。おすすめです。そしてその左側に、やや分かりにくいですが「三浦一族企画展」とあるのが見えますでしょうか? こちらが次の目的地、「衣笠仲通り商店街ガレリア会館」です。

11月30日までは「三浦一族企画展」というパネル展示を開催していたようですが、もう終了してしまいました。残念! スランプラリー終了時までやっていてくれればよかったのですが……。

出典:https://platinumaps.jp/

とりあえずスタンプゲットです。

衣笠城趾

出典:https://platinumaps.jp/

次の目的地は衣笠城趾。スタンプラリーだと「衣笠ルート」の西側の端っこに位置しているスポットです。

進行方向から振り返った「衣笠十字路」バス停。道路反対側のグレーの建物の前でバスをお待ちください。

バスならアーケード商店街を出て右に進み、「衣笠十字路」バス停から三崎口方面へ向かうバスに乗ります(来た方向と反対側に向かいます)。そして三つ目のバス停「衣笠城趾」で降ります。時間帯によってはそこまでバスの本数が多くないので、待ってるのがちょっとめんどくさい……というわけでわたしは歩いてしまいました。

少し歩くとハイキングコースの表示が。こちらは衣笠山公園に行けます。以前別のルートからですが歩きました! これから向かう城趾も昔はハイキングコースに含まれていました(現在はどうなっているのかはぜひ記事をご覧ください!)。

道路脇に夢の残骸置き場がありました

のんびり歩いて20分ほど、衣笠城趾のバス停前に到着です。写真の十字路の右奥に進んでいきます! この交差点も横断歩道がないので、地下道を使います。写真左手に曲がると……

こんな感じで地下道が。

降りてまっすぐ進み、写真に写っている階段を上ります。

そのまま直進! トンネルをくぐり……

この写真に写っている横断歩道を渡ります。

擁壁に埋まったように、なにかぽつんと見えるのは……

衣笠城大手門跡、の石碑です。この場所に大手門があったと確定しているわけではないと思うのですが、地元に残る小名からこのあたりではなかったかと推測されています。

道なりに進みます。途中で太い道と細い道が分かれます。細い道のほうを歩くと白い矢印看板が見えてきます。

この三差路を左に。あとは道なりにまっすぐ……! なのですが……

とにかく急な坂道です。「馬返しの坂」という名前がついている、等々はぜひ樽瀬川さんの記事でお読みください。

坂道を上りきると、緑色のプレハブに囲まれた泉のようなものがあります。こちらは不動の井戸。脇に立っている石碑には「瀧不動」とあります。衣笠城の重要な水源となっていた、といわれている井戸で、行基が杖でこの場所を突いて水を出したという伝承があります。

……行基、覚えていてくれましたか? 曹源寺を開いたとされる行基です。同じ人です。行基は衣笠城の場所に金峯山蔵王権現を開いたともされています。

一般的に、日本で杖をついて泉を開く人といえば弘法大師です。弘法大師と泉の伝承は日本各地に残っています。弘法大師がおよそ9世紀の人であるのに対し、行基は1世紀ほど前に生きた人物です。

このへんの年代の古さが、三浦一族がこの地に住みはじめた時代の古さに対応するのかもしれません。つまり衣笠城付近には曹源寺(宗元寺)ができたのと同じくらい古くから豪族が住んでいたのかも。もちろん確証はありませんし、仮に住人がいたとしてもそれが三浦一族とどのような関係性を持つのかは不明です。ただ、日本民俗学の祖柳田国男は仏教が広まるよりも古い信仰の片鱗をこういった伝承に見ています(『日本の伝説』など。青空文庫で読めます)。

ちなみに! 衣笠城趾のスタンプはこのあたりでゲットできます。厳密には手前の大善寺がクイズスポットになっていて、クイズに正解するとスタンプがもらえます。クイズの内容はぷらからの記事で予習できますので詳しくない方も安心してください!

こちらを読んでからチャレンジしてくださいね。

出典:https://platinumaps.jp/

無事ゲット!

さて、本当の衣笠城趾はクイズスポットからさらに歩いたところにあります。写真奥に階段と手すりが見えるでしょうか。

これはなんとかしないと大変そうです

手すりのある階段を上ります。

大善寺の境内脇に出ます。ここから写真左に写っているコンクリート擬木の階段を上ると……

原っぱに出ます。ベンチに座ってしばし休憩。

実はこの日、少々貧血気味だったのが災いして、ここでバテてしまいました。いくら急坂続きとはいえ、横須賀育ちが泣きます。

本来このまま大矢部方面へ足を伸ばして一気にスタンプを稼げるコース! のつもりだったのですが、今日は無理せず帰ります! 元気な方は1日で回れると思います。というわけで本日のスタンプラリーはスタンプ3個、所要時間は1時間半ほどでした。衣笠コースの残りはまた次回の記事でご案内します! (の、つもりですが、スタンプラリー期間があまり長くありませんのでお急ぎの方は記事を待たずにお出かけくださいね。)

おまけ1

以前に歩いたときは見つけられなかった「グリーンウォッチングヨコスカ」の案内板が衣笠城趾に残っていました! そういえばこの回は途中から道を探すほうに気を取られて案内板探しがおろそかになっていたのでした。リンクは再掲です。

おまけ2

衣笠城趾へ向かう坂道の途中にあるカフェ「ローゼンベッカー 榧の木邸」。帰り際、こちらに立ち寄ってコーヒーとケーキをいただきました。お土産に焼き菓子も。

赤星友香

横須賀ぷらから通信主宰。クロシェター / ライター。普段はpiggiesagogoという屋号で編み図を作ったり、別館1617という自主レーベルで本を作ったりしています。横須賀育ちの北関東在住で、わりとつねに三浦半島に行く口実を探しています。

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