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【三崎口】グリーンウォッチングヨコスカ・長井コースを歩く

今回歩いたルート

グリーンウォッチングヨコスカ_長井コース - Google My Maps

これまでいくつか歩いてきた「グリーンウォッチングヨコスカ」。横須賀市で30年ほど前に行われていた散策コース選定事業です。

今回は1989年に発行された2冊目のブックレットから、「長井コース」を歩きます。この2冊目のブックレットはとくに花の豊かなコースを選んだそう。秋冬に歩くにはあまり向いていなさそうに思えますが、さてさてどうなるでしょうか。

出典:『グリーンウォッチング ヨコスカ 2 歩いてみよう、わたしたちのまち 花のある散歩道』横須賀市環境保全部緑地公園課, 1989

富浦公園

ツノが立ってるみたいな富浦公園の銘板

長井コースのスタート地点は「富浦公園」。自衛隊の武山駐屯地南側に隣接する公園です。

横須賀市営プール情報
横須賀市の運営する市営プール情報公式サイト。プールの開場日程のほか、プール敷地を活用した各種イベントもご案内します

最寄りのバス停は「富浦」ですが、本数があまり多くありません。取材時は武山コースのあとに歩いたので、林方面から「三崎口」駅ゆきのバスに乗りバス停「長井」で下車しました。

パン屋さんの脇道を通って富浦公園へ向かいます

富浦公園といえば、少し前に「大蔵省専売局中央研究所長井分室」の遺構があるということが知られて話題になりました。

横須賀の海岸に謎のコンクリ構造物…正体を調べてみました 追う!マイ・カナガワ | カナロコ by 神奈川新聞
横須賀市長井の富浦公園の海岸に、コンクリートの大きな箱のようなものが昔からある。これが何なのかずっと気になっていたという同市の歯科衛生士の女性(58)から「追う!マイ・カナガワ」取材班に調査依頼が届いた。女性は、戦時中の砲台、漁師が使った…

ちょっと覗いてみたかったのですが……

ありゃ

工事中とのことで北側への通り抜けができませんでした(2022年11月現在)。写真左手奥のほうにあるはずなんですよね。残念。

せっかくだから浜に下りてみました

遺構のほうには行けないものの、南側の浜には下りられたのでしばしぼんやり。こっちの海岸は西向きなんだよなあ、と思っていたのが見事ゴール地点で報われるかたちになりました。

さて、見通しのいい芝生広場がある富浦公園。どこぞにグリーンウォッチングヨコスカのなごりはないかなと見渡してみました。

ありました!

おそらく植物の紹介板として使われていた、盤面が細長いタイプの木製案内です。富浦公園には横須賀市の花であるハマユウがあるということなので、そのあたりの植物を紹介していたのでしょうか。そのほか、グリーンウォッチングヨコスカ激推しのヤマモモやケヤキなどが植わっているとのことでした。

グリーンウォッチングヨコスカ激推しのヤマモモ。こちらは不入斗コースで見つけたもの
お堀のような川に囲まれています

富浦公園を一歩出ると、道路との間にはお堀のような川が流れています。「終戦直後の横須賀市における旧軍用財産の転用計画について」という論文によると、太平洋戦争時の富浦公園の敷地は武山海兵団長井分団の一部だったように見えます1。軍用地だったとしたら本当にお堀の役割を果たしていたのかもしれませんねえ。

旧道を歩く

いかにも海に続きそうな道

先ほど「長井」バス停を下りて歩いてきた道を逆に戻っていきます。

この十字路を右に

ブックレットによると、ここから先しばらく歩く道は旧道なのだそう。何か古いものが見つかるかな、ときょろきょろ。

こちらはいかにも海に近そうな川

荒井観音への道標

あ、なんか古そうなものだ!

「荒井観音への道標」と書かれた案内を見つけました。この案内の足元にあるのがそうですね。

「江戸時代の観音めぐりの隆盛を知る石造物。」と書かれています。石造物が知っている、覚えている、っていうニュアンスがいいなあ。人間なんて数十年でいなくなっちゃいますけど、この石はずっと何百年もここにいて毎日往来を眺めているんですもんね。

横須賀市の「横須賀歴史散策マップ」によると1711年に作られたものだそうです

写真を撮っていたら、近所の子と思われる小学生に「なんで写真撮ってんのー?」と聞かれました。なんで撮ってんだろうねえ。年取ればわかるかもしれないねえ。

斜めの地層が露出していました。わくわく。

長井小学校・中学校方面へ

夕方は車通りが増えます

以前白畑さんが歩いていた長井小学校・中学校方面へとコースは進みます。

めっちゃひしゃげてる。そして野菜がめっちゃ走ってる。
野菜が50メートル進んだ。

このジョギングコースはグリーンウォッチングヨコスカとは別の道、自衛隊の敷地のまわりをぐるりとまわりながらソレイユの丘方面へと向かうようです。しかしちょっと車通りが多いですが、ゆっくりジョギングできるようなコースなんでしょうか。気になるので歩いてみたいです。

長井小学校のプールわき

かなり古そうな大谷石の門を見かけました。このあたりは海軍砲術学校長井分校の敷地だったはず。そのころのものでしょうか。

長井の坂を下る

長井小学校のまわりをぐるりと歩き、坂道を下っていきます。この坂、ぷらからのヘッダーになっているんですよ。

夕方の坂道
広瀬順子さんに描いていただいたヘッダー

イラストのもとになった時期と比べると、少し緑がすっきりしてしまいました。それは残念なのですが、この道を歩けて満足です。

「かまくらと三浦半島の古木・名木50選」

山門わきに立派なイチョウが

紅葉したらさぞ見事だろうな、と思われるイチョウが植わっている長徳寺の前を通ります(取材は2022年11月上旬でした)。

コースマップを見るかぎり、長井コースにはあまり案内板がなさそうなんです。なのであまり期待せずに覗いてみたところ……

「かまくらと三浦半島の古木・名木50選」とあります

グリーンウォッチングヨコスカではない、別のものの案内板がありました! インターネットに公式のウェブページはなさそうなのですが、なんとどなたかがGoogleマイマップを作っていらっしゃいます。すごいなあ。

かまくらと三浦半島の古木・名木50選 - Google マイマップ
かまくらと三浦半島の古木・名木50選

なくなってしまった木がいくつかあるようですが、現存するものをめぐってみるのだけでも楽しそうです。

この細い道から長徳寺に入り、山門前の道を通って旧道に戻ります
おそらくだいぶ変わってしまったのであろうまちなみ

ブックレットには「長徳寺からは、田や畑が見られるのどかな風景の中を歩きます」と書かれています。歳月が経ったのを感じるのはこういうとき。今では道沿いにはたくさん住宅が建ち並び、高台に向かうまで畑は見当たりません。昔はこのあたりが田んぼだったのかなあ。

長徳寺裏手の墓地で、ぴーよろー、と鳴くお方を見かけました
高台は畑地です

キャベツや大根がすくすくと育っている中を進みます。だいぶ日が傾いてきました、がんばれがんばれ。

おこり石

なんか古そうなものだ!(リプリーズ)

歩きながらGoogleマップを眺めていたら、「おこり石」という何やらおもしろそうなものがあるみたいだったので寄り道をしてみました。

風の強い日は唸り声を上げて怒るのだそうです

石と石のすきまに吹く風の音が、怒っているように聞こえるのでしょうか。石自体は自然石なのだそうですが、どうしてこの場所にふたつ重ねて置くようになったんでしょう。この石たちに何があったんだろうなあ。

暮れてきました

海沿いを進む

しばらくすると海沿いに出ます

漆山湾沿いに出ました。だいぶ日が落ちてきているぞ、急げ急げ。それはそうと、このあたりは道沿いにたくさん寺社が集まっています。昔から人が住んでいたエリアなんでしょうね。ブックレットによると春から夏にかけてはいろいろな花が見られるとのこと。

せっかくなので西日に照らされる静かな湾の写真を

11月ともなると見られる花はかなり減ってきています。だからというわけでもないのですが、夕日が美しい海の写真をぱしゃぱしゃ撮って進みます。

覗いてみると、海中の岩場が渦を作っていました
これは夕焼けに期待できるのでは……?
「関東ふれあいの道」も歩いてみたいコースです

「関東ふれあいの道」は関東の一都六県をぐるりと周遊できるコースなんだそうです。神奈川県のコースは三浦市から始まって三浦半島の西側を通り、鎌倉から大磯、そして丹沢方面へと抜けていきます。

関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)
関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)についてのページです。

三浦半島だけで4コース。これはそのうち歩いてみたいですよねえ。

サギの方がぽつん、と寒そうにしていました

ほかの散策コースに思いを馳せていると、ようやくゴールが見えてきました。荒崎公園です!

駐車場入り口から進みます

グリーンウォッチングヨコスカ長井コースの数少ない案内板がここにもあるはず。どこでしょう?

といいつつも目移り
荒崎公園も一部通行止めだそうです

先日の衣笠コースも通れない場所が多々ありましたが、荒崎公園も園路が一部通行止めなんだそうです。横須賀市の公園、ちょっと大変ですね……

しかし案内板はありました!

グリーンウォッチングヨコスカの案内板はかろうじて、といった風情ですが残っていました。こちらは幅広の金属板が付いているので、コースマップが描かれていたのかもしれません。あった場所は園内に入ってすぐの広場です。

荒崎公園ではイソギクなどの海岸植物の花が楽しめる、とブックレットには書いてあります。景勝地として知られる荒崎公園、園内を歩いた記事は樽瀬川さんが書いてくださっています。併せてご覧くださいね。

せっかくだから日没を見て帰りましょう

園内の浜に下りてみます

そろそろ日が沈みそう。11月、花はないが空気は澄んでいます。せっかくなので夕日を眺めてから帰ることにしました。

西日に照らされる奇岩たち
そろそろ沈むぞ
どんどん沈むぞ
バイバイ、また明日

風もなく穏やかな夕暮れ、伊豆のお山に沈んでいく太陽をじっくりと眺めることができました。贅沢ですね。花がメインのコースは秋冬に楽しめないのか……? というとそんなわけもなく、どんな季節でも楽しみかたを見つけられるのがぶらぶら歩きのいいところだなあと思ったり。

荒崎公園最寄りのバス停は「荒崎」です。来た道を少し戻っていくと見つかります。そちらから三崎口駅方面へと帰りましょう。しかし今日歩いたエリア、全部住所は「横須賀市長井」です。長井、広いですねー。

これまで何コースか歩いてきたグリーンウォッチングヨコスカですが、今回の長井コースでいったんおしまいにしようと思います。コース自体はまだまだたくさんあります! ご興味のある方は、ぜひ横須賀市立図書館でブックレットを確認しつつお出かけしてみてくださいね。

赤星友香
赤星友香

横須賀ぷらから通信主宰。クロシェター / ライター。普段はpiggiesagogoという屋号で編み図を作ったり、別館1617という自主レーベルで本を作ったりしています。横須賀育ちの北関東在住で、わりとつねに三浦半島に行く口実を探しています。

  1. 今村 洋一「終戦直後の横須賀市における旧軍用財産の転用計画について」都市計画論文集/45.3 巻 (2010)
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